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【連載】北米イノベーション最前線 ヘルスケアニュース from Silicon Valley ⑱

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【私たちが想像するヘルスケアの未来は、少しずつ現実となっている。そんな北米の最新ヘルスケアイノベーション情報を定期的にお届け致します。】

持続血糖モニタリング(CGM)領域では、大手のAbbott(FreeStyle Libre 2)と、Dexcom(G6)、Medtronic(Guardian Connect)による三つ巴状態が続いています。今後、CGMデバイス市場は、10%を超えるCAGR(年平均成長率)で成長し2028年には約1.2兆円の市場規模になると見られる中、そのポテンシャルの大きさから多くのベンチャー企業が参入を試みており、各社の動向に注目が集まっています。先週は、非侵襲の画期的なパッチデバイスを開発するBiolinqが大型の資金調達に成功し話題となった他、Intuity Medicalが新たにワンボタン式の血糖値測定デバイスを上市したこともニュースとなりました。

また日本では、無針のフィンガークリップで血糖レベルが測定できるデバイスの開発を行うベンチャーも存在しています。まだ開発段階であり、医療機器として認証されていませんが、すでに患者や医師等、多方面から早期の製品化を望む声があがっています。日本の糖尿病患者とその予備軍をあわせると約2,000万人に上るともいわれており、様々な企業が新製品開発に力を入れているため、今後も画期的なイノベーションが期待できる領域のひとつとなるかも知れません。

1.デジタルヘルス

1) PaPa社がSoftBank社より$150M(約171億円)の資金調達(Series D)を行い、「ファミリーオンデマンド」サービスを拡大

高齢者支援ソリューションを提供するPapaが、SoftBank等から$150Mの資金調達(Series D)を行いユニコーンの仲間入りを果たした(企業価値:$1.4B)。「Papa Pal」と呼ばれるアプリ登録者が、独居の高齢者宅等を訪問し、家事・買い物支援を行ったり、映画やゲームを一緒に楽しんだり、外出の付添い等を行うことで、高齢者の生活を幅広くサポートすると同時に孤独感・社会的隔離を和らげる。要介護以外の高齢者をメインユーザーとしており、Papa Pal登録に介護・医療資格等は不要。当初は、看護学校や大学の生徒の登録がメインで「オンデマンド孫」とも呼ばれていたが、現在は、幅広い人材が登録しており平均年齢は30歳。高齢者向けオンライン診療やPapa Pal向け教育サービス(Pal大学)等、ソリューションの幅を拡大している。先月Uber Healthと提携し、高齢者・Papa Palの移動の効率化にも取り組んでいる。

2) 医療事務業務のAI・RPAを展開するNotable社が、$100M(約114億円)の資金調達を行い、$600M(約682億円)の企業価値に達する

医療事務業務のAI・RPAを展開するNotableが、$100Mの資金調達(Series B)を行った(企業価値:$600M)。米国では、医療書類作成や請求等のマニュアル作業によるコストが年間1 兆ドルを超えるとされ、大きな課題となっている。全国で350施設が同社の「AIデジタルアシスタント」プラットフォームを採用しており、医師を含む病院職員は、多種多様な作業の自動化により年間700時間以上の業務時間を削減出来ているとのこと。尚、同領域では、Google Ventures等が出資するOlive(企業価値:$4B)も同様のAI・RPAプラットフォームを全国900病院に提供しており、注目されている。

2.メディカルデバイス

1) 無痛の持続血糖モニタリングを開発するBiolinq社が、$100M(約114億円)の資金調達を実施

非侵襲の持続血糖モニタリング・デバイスを開発するBiolinqが、$100Mの資金調達(Series B)を行った。同社が開発するパッチ型のウェアラブルデバイスは、従来の穿刺による血流からの血糖値測定方法とは違い、特別なバイオセンサーによる皮下の細胞外組織液(間質液)に含まれるグルコース量を測定することを特長としており、内蔵バッテリーによって約1週間、継続してモニタリングできるとのこと。同社は、画期的な無痛の持続血糖モニタリングとして業界内で注目を集めていた。

2)整形外科会社Syntheが、Orthospin社を$79.5M(約90億円)で取得予定 

医療技術インキュベーション企業のTrendlines Groupが、ポートフォリオの1社であるOrthospinをJohnson $ Johnsonの整形外科事業会社(Depuy Synthes)に$79.5Mで売却することを発表した。Orthospinは小児・成人患者の骨延長や変形矯正、複雑な骨折後の治療等を行うリング型の創外固定を開発しており、患者・家族が行っているデバイス操作を、ロボットによって自動化できる。

3.ヘルスケア

1)Google親会社のAlphabet社が、新しくAIを活用した創薬企業を立ち上げ

Google親会社のAlphabetは、ロンドンで、AI創薬企業・Isomorphic Labsを立ち上げたと発表した。Alphabetが2014に買収したAI企業・DeepMindでのライフサイエンス領域に於ける研究をスピンアウトしたもので、同社CEOで世界的なAI・脳科学研究者、ゲームプレイヤーであるDemis Hassabis氏がIsomorphicのCEOを兼務する。詳細は明らかにされていないが、AIを活用し、長い開発期間を要する創薬プロセスの大幅な短縮化を目指すとしている。同領域では、Atomwise (シリコンバレー)やBenevolentAI(ロンドン)等が取組みを進めており注目されている。 

2) Kaia Health社が患者の症状にあわせたコーチングを協業先へ提供開始

在宅での整形・呼吸器系遠隔リハビリソリューションを開発するKaia Healthが、在宅での理学療法サービスを提供するLunaと協業することを発表した。Kaiaは、患者の症状に合わせたスマホベースの理学療法コーチングに強みを持っており、1,000人を超える理学療法士を抱えているLunaと提携することで、リアルとバーチャル両方のリハビリサービスを患者毎のプログラム内容やスケジュールに応じて柔軟に組み合わせて提供することを目指している。Kaiaは今年4月に$75Mの資金調達(Series C)を実施しており、同資金を本取組に投入するとのこと。


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エム・シー・ヘルスケア株式会社

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