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【連載】北米イノベーション最前線 ヘルスケアニュース from Silicon Valley ⑳

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【私たちが想像するヘルスケアの未来は、少しずつ現実となっている。そんな北米の最新ヘルスケアイノベーション情報を定期的にお届け致します。】

COVID-19を背景にデジタルヘルスのニーズが高まりましたが、単なるビデオ通話によるオンライン診療だけでは、提供可能な医療サービスが大きく制限される為、遠隔医療の普及はなかなか進みません。そのような状況下、アメリカでは大手・ベンチャー各社がデバイス×センサ×アプリを組み合わせたソリューション開発を積極的に進めており、周辺プレーヤー(投資家・インキュベーター・アクセラレーター・規制当局・医療機関等)と共にエコシステムを形成しています。また、医療データ連携・共有等、既にソリューション導入を推進するための素地が備わっているため遠隔で提供可能な医療サービスの幅が急速に広がりつつあり、「分散・非接触型医療」の流行はしばらく続きそうです。

一方、日本では、2020年4月から新型コロナウイルス感染症を受けた対応として特例的に解禁された初診からのオンライン診療について、2022年度からオンライン初診を恒久化するべく、制度の整備が進んでいるところです。今後日本でも遠隔医療を前提とした医療デバイスやSaaS等の開発がさらに活発化するかも知れません。

1.デジタルヘルス

1) Sword Health社は最も急成長しているデジタルMSK会社として、$163M(約184億円)を調達し、企業価値$2B(約2,262億円)を達成  

遠隔リハビリサービスを展開するSword Healthが、General Catalyst、Khosla、Sozo等から$163Mの資金調達(Series D)を行った(企業価値:$2B)。同社は、ウェアラブルデバイスとカメラによるモーションキャプチャー技術を活用し、理学療法をリモートで実施するサービスを提供している。現在は、米国・ヨーロッパで事業展開しており、今後、グローバル展開を加速させる方針。遠隔リハビリは「At-home Hospital」の中で最も注目を集める領域の一つで、今年は、同社競合のHinge Health、Kaia Healthも相次いで大型の資金調達を行っており、競争が激化しつつある。

2) ヘルステックベンチャー企業のH1社が製薬・医療機器メーカー向けの医療従事者データベース拡大のため、 $100M(約113億円)の資金調達を実施

医療版LinkedInの構築を目指す2017年設立のベンチャー企業・H1が、$100Mの資金調達(Seires C)を実施。同社は、グローバルで84ヵ国・1,000万人(16,000の医療・研究機関)の医療従事者に関する最新情報が管理されているデータベースを構築し、企業・R&D・治験の効率化を目的とした製薬・医療機器メーカー向けの管理ツール等を展開している。同社は、本資金を活用し、ネットワークの更なる拡大を図る方針。また、同社は、今年7月にCarevoyance(ヘルスケア企業向けSales & Marketingソフトウェア)を買収する等、ツールの強化にも取り組んでいる。

2.メディカルデバイス

1) Medtronic社の遠隔内視鏡検査システム「PillCam」がFDA承認を取得

Medtronicが、カプセル内視鏡「PillCam Small Bowel3」の遠隔内視鏡検査に関するFDA承認を発表した。「PillCam™ SB3 @HOME」と呼ばれる在宅内視鏡検査の流れとしては、まず、カプセル内視鏡本体及び腹部に巻き付けるセンサーを自宅に配送(Amazonと連携)し、医療機関がオンライン診療で検査プロセスを患者に説明する。カプセル内臓のカメラが、患者の体内で8時間を掛けて約50,000枚の食道、胃、小腸、結腸粘膜等の臓器の写真を撮影し、クラウドを介して医療機関と画像共有後、医師が診断を行う。検査後、患者は使用済みデバイスをMedtronicに返送する。同社のGI事業の最高責任者によると、医療の未来は遠隔操作に向かっており、大きな事業拡大余地があるとのこと。

2) ALung社の「呼吸透析」デバイスがFDA承認(DeNovo)を取得

ALung Technologiesが開発する急性呼吸器不全患者の為の体外式人工肺デバイス「The HEMOLUNG System」が、FDA 承認(DeNovo)を取得した。同社のデバイスは、患者の中心静脈からカテーテルを通じて血液を抜きとり、独自のフィルターによって血液から二酸化炭素を除去。酸素を付与したうえで、血液の交換を行い、患者の生命維持に寄与する。そのユニークな作用機序から「呼吸透析」とも呼ばれている。同社は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のための臨床試験も別途取組んでおり、新たな治療法として期待が寄せられている。

3.ヘルスケア

1) R&Dプラットフォーム開発のBenchling社が今年2度目の大型資金調達を実施 

ライフサイエンス領域のR&D管理プラットフォームを展開するMIT発のスタートアップ・Benchlingが、新たに$100Mの資金調達(Seires F)を実施した(企業価値$6.1B)。同社は、半年前にSequoia等から$200Mの調達を実施したばかり。同社プラットフォームは、グローバルで、20万人以上の研究者、600以上のライフサイエンス企業、7,000以上の研究機関が活用しているとのこと。本資金調達により、北米・ヨーロッパ事業を更に強化すると共に、中東・アフリカ地域への事業拡大にも取組む方針としている。 

2) 看護関連ベンチャー企業が医療機関の人員配置プラットフォームのため、$149M(約169億円)の資金調達を実施

看護師の配置プラットフォームを開発するTrusted Healthが、$149Mの資金調達(Series C)を実施した。同社は看護師と医療機関のニーズに合わせた人員配置プラットフォーム「Works」を提供しており、既に米国の50以上の医療機関で採用されている。具体的には、医療機関に於いて、看護師の需要予測に対し内部・外部リソースを組合せ、看護師のシフトを効率的に組むことができる。また、看護師側は、アプリ上で希望(勤務時間・給料等)に応じて簡単に医療機関とのマッチングを行うことができる。米国では以前から医療スタッフ不足が問題視されていたが、COVID-19による院内の混乱でストレス過多やバーンアウトによって退職する医療従事者が増えており、看護師不足が大きな社会問題となっていることから、同ソリューションに注目が集まっている。


記事提供者
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エム・シー・ヘルスケア株式会社

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