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【連載】北米イノベーション最前線 ヘルスケアニュース from Silicon Valley ⑯

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目次

【私たちが想像するヘルスケアの未来は、少しずつ現実となっている。そんな北米の最新ヘルスケアイノベーション情報を定期的にお届け致します。】

米国では、特定の企業出身者・関係者によって、インナーサークル(ベンチャーを起業からEXITまで成功に導く人的ネットワーク)が形成され、成功の連鎖が生まれており、これらは出身企業や中心人物の名前を取って「○○マフィア」と呼ばれています(例:PayPalマフィア、Uber マフィア等)。ヘルスケア業界にも米国各地に多数の「マフィア」が存在していますが、今回のZerigo Healthの資金調達ニュースについても、デジタルヘルス領域の新興ファミリーが関わっており、彼らが「Livongoマフィア」と呼ばれる日も遠くないかもしれません。
一方、日本では、近年「医療・ヘルスケア業界カオスマップ」なるものが公開されており、医療系ITベンチャーの乱立状況が伺えます。今後、突出した成功モデルが確立され、成功の連鎖を生むネットワークを築くことができるのか。日本の医療系IT業界でも、巨大なマフィアの誕生が待ち望まれているのかも知れません。


1. デジタルヘルス

1) Zerigo Health社が、Glen Tullman氏を社長に任命するとともに$43M(約49億円)を調達 

皮膚疾患の遠隔治療デバイスを開発するZerigo Healthが$43M(Series B)の資金調達を実施した。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、尋常性白斑等の紫外線治療を行うデバイス(FDA承認済)で、患者が自宅でセラピーを行うことができる。デバイスは、医師がアプリを通じて処方した回数・時間のみ使用できる仕組みとなっている。また、医師は、利用・治療状況をモニタリングすることが可能で、アドヒアランス向上を図ることが出来る。尚、本ラウンドでは、Livongo創業者のGlen Tullman氏率いる7 Wire Venturesと、Livongoを育てたトップVCのGeneral Catlystも出資参画している。Glen氏が、ZerigoのChairman of the Boardに就任することも発表され、Glen氏×General Catlystの黄金コンビがまたデジタルヘルス・ベンチャーを成功に導くのか注目される。

2) 個人DNA検査大手の23andMe社が、オンライン診療・薬局事業を行うLemonaid社を$400M(約455億円)で買収

個人DNA検査大手の23andMeが、オンライン診療・薬局事業を行うLemonaidを$400Mで買収すると発表した。23andMeは、自らがプライマリケア事業に参入することで、患者・医師双方が、同社DNA検査ソリューションを通じて、個人の疾患リスク等を把握したうえで診察・検査・治療を行うことを可能にし、同社が創業時から志す個別化医療サービスの実現を目指す。また、同社は、癌・呼吸器・心疾患領域で、医薬品開発にも積極的に取り組んでおり、Lemonaidのオンライン薬局事業との将来的なシナジーにも期待しているとのこと。

2. メディカルデバイス

1)  J&J社では、グローバル医療機器事業が3Q(7‐9月)の売上を押し上げる中、手術ロボット「Ottava」の製品開発に遅れ     

J&Jが、3Q(7-9月)の決算を発表した。医療機器事業については、グローバル売上が昨年同期比+8%であった一方、米国のみの結果を見ると前年同期比+0.8%と低調。COVID-19デルタ型ウィルスの感染者が急増したことによる一部手術の再延期・中止が影響しているとのこと。特に、整形外科領域での影響が大きく、同領域はグローバル売上が前年同期比+8.8%であるのに対し、米国は前年同期比▲4.5%であった。更に、同社の軟部組織手術ロボット「Ottava」の臨床試験は予定より2年遅れる等、製品開発の進捗にも影響を及ぼしている状況。

2) Liminopia社のTV視聴により弱視治療を行うVRを活用したデジタルソリューションがFDA承認を取得

米スタートアップのLiminopiaが開発する、VRを活用した小児の弱視治療ソリューションが、SaMD(Software as a Medical Device)としてFDA承認を取得した。同社ソリューション「Luminopia One」は、専用のVRヘッドセットを着用して普段観ているようなテレビ番組や映画を1日1時間視聴するだけであり、アルゴリズムによって弱視もしくは斜視側の目を矯正するように作用する。同社によると従来の治療法である眼鏡、眼帯、点眼薬等と比べ、アウトカムが改善し、アドヒアランスも向上したとのこと。

3. ヘルスケア

1) Everly Health社が女性向け在宅検査キット事業に取り組むスタートアップのNatalist社を買収     

在宅検査キット事業を展開し注目を集めるユニコーンベンチャーのEverlyHealth(旧Everlywell)が、女性向け在宅検査キット事業に取組むNatalistを買収すると発表した。これにより、Everly Healthは、新たに妊娠・不妊関連の領域がカバーでき、近年、急速にニーズが高まるWomen’s Health分野で幅広くソリューションを提供可能となる。Everly Healthでは、今年に入り、女性向け在宅検査キットの売上が3.5倍に成長しているとのことで、本買収により、更なる成長を目指す。尚、同社にとって、本件は直近半年間で、PWNHealth、Home Access Healthに続き3件目のM&Aとなる。

2) Guardant社のリキッドバイオプシー(血漿や尿などを利用したがん診断)が、1度の採血により、感度96%で初期結腸がん・直腸がん患者を検出

リキッドバイオプシー(血漿や尿などを利用したがん診断)大手のGuardant Healthが、血液による大腸がんの検出に関する新たなデータを公開した。10月22日から27日に開催されている米国消化器病学会(ACG)での発表によると、患者約700人を対象とした研究に於いて、感度96%・特異度94%で、ステージ1から3の結腸がん・直腸がん患者を検出できたとのこと。同社はこの検査方法を結腸内視鏡検査や検便に代わる簡単で正確ながん検査として位置付けようとしており、再発がんや大腸がん以外のがんにも適用を拡大することを目指している。


記事提供者
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エム・シー・ヘルスケア株式会社

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