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【連載】北米イノベーション最前線 ヘルスケアニュース from Silicon Valley㉒

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【私たちが想像するヘルスケアの未来は、少しずつ現実となっている。そんな北米の最新ヘルスケアイノベーション情報を定期的にお届け致します。】

10月にFacebookが「Meta Platforms」へと社名変更したことは記憶に新しいですが、同時に大きな注目を集めることとなった「メタバース(仮想空間)領域」には、医療への応用にも期待が膨らんでいます。米国では、今回のニュースで取り上げているPrecisionOSによるVR手術計画ソリューションのFDA取得だけでなく、Insight Medical Systems、Pixee Medicalがそれぞれ開発するAR手術ナビゲーションもニュースとなっています。他にも、WHOによる医療従事者へのコロナ関連ARトレーニングや、精神科医によるVRを用いたPTSD治療等、医療への応用事例は増えており、まだまだ開拓の余地のある領域として多くのプレイヤーが参入を試みております。

日本では、特に遠隔治療でのAR/VR活用実験が進められています。2020年には、VR Japan、コニカミノルタジャパン、ドコモの3社が360°映像の大容量データを1秒以下という低遅延で配信する実証実験に成功しており、インフラ整備により更なる医療へのAR/VR活用が進むことと思われます。

1.デジタルヘルス

1) Zoom社が新しく、Cerner社の電子カルテとの提携を発表     

Zoomが、米電子カルテ大手のCernerと提携したと発表した。同社電子カルテ上で、Zoomを使ったオンライン診療が可能になる。具体的には、ビデオ通話の他、患者がZoomに入った際の電子カルテ上での通知、検査データ共有・ドキュメント作成、医療従事者の入退室、患者ポータル内でのZoom起動等の機能があるとのこと。既にベータ版がリリースされ、希望する病院ユーザーはZoomと契約のうえ利用することができる。本格ローンチは、2020年上期となる予定。尚、Zoomは、同じく米電子カルテ大手のEPICとも2019年より提携しており、今後、病院は、2大電子カルテ共にZoomによるオンライン診療が可能となる。

2) 「Vocal Biomarkers」:予防のための新しい機会

音声による疾患のAIスクリーニング「Vocal Biomarker」に注目が集まっている。疾患によって患者の声質等が変わる特性を活用し、心疾患、呼吸器疾患、脳疾患、メンタルヘルス等の幅広い領域での活用が検討されている。専門家によると、Vocal Biomarkerは、最終診断に使用できるものではないが、患者のスクリーニング・トリアージでは十分な効果が期待できるとのこと。イスラエル発のベンチャー企業・Vocalis Health(旧Beyond Verbal)は、Mayo Clinicと音声による肺高血圧症や冠動脈疾患のBiomarkerにつき研究・開発を進めている。Sondeは、コロナスクリーニングツールを開発した他、メンタルヘルスでの活用を進める。他にもKintsugi、Ellipsis等、多くのベンチャー企業が取組みを進めており、今後の動向を注視していきたい。

2.メディカルデバイス

1) Virtual Incision 社が、小型ロボットによる最初の臨床試験後に、$46M(約52億円)の資金調達を実施    

小型の単孔式(シングルポート)腹腔鏡手術ロボットを開発するスタートアップのVirtual Incisionが、$46Mの資金調達(Series C)を実施した。同社が開発する手術ロボットの「MIRA」は、主に関節可動式HDカメラと2本のロボットアームからなり、更に重量は約2ポンド(0.9kg)とのことで、そのポータブルかつコンパクトなサイズ感が大きな特長となっている。同社は今年8月に米Bryan Medical Centerにて最初の臨床試験(結腸部分切除術)に成功しており、今回調達した資金は、臨床試験の拡大及びFDA申請費用に充てられるとのこと。

2) RefleXion社の肺腫瘍治療のためのBgRT(生物学的誘導放射線療法)がFDAの「Breakthrough」を獲得

がん治療の為の画期的な放射線治療装置を開発するRefleXion Medicalは、肺腫瘍治療デバイスが、FDAのBreakthrough Device Designationに認定されたと発表した。同社が開発する治療法は「BgRT(生物学的誘導放射線療法)」と呼ばれる。腫瘍の持つ放射線感受性などの生物学的特性を利用するもので、PET(陽電子放射断層撮影法)と生物学的誘導を組み合わせた精度の高い放射線治療として注目を集めていた。尚、同社が開発する放射線治療機器本体「RefleXion X1」は、既に定位放射線治療装置としてFDA承認を取得しており、同社は総額で$300M以上の資金調達にも成功している。

3.ヘルスケア

1) CVS社とマイクロソフト社がデジタルヘルス開発や個人向け商品で提携     

米薬局チェーン・医療保険大手のCVS HealthとMicrosoftが、デジタルヘルス開発や薬局業務の効率化に向け提携した。具体的な提携内容・条件は明らかにされていないが、CVSによるオンライン診療サービスの開発・強化やMLを活用した薬局業務の自動化等に取組むとしている。CVSは、2018年からHealthHUB構想を打ち出し、リアル店舗を活用した対面での各種ヘルスケアサービスに注力してきた。現在、全国に約1万店舗の薬局・ドラッグストアを運営しており、その内、約1,200店舗にプライマリケアクリニックが併設されている。他方で、コロナにより遠隔サービスのニーズが急激に高まったことを受け、オンライン診療等の導入にも注力。傘下の保険会社大手・Aetnaとも連携し、患者囲い込みを図っている。

2) PrecisionOS社が、FDA承認を取得した手術計画VRツールの2022年発売を準備中

VRによる手術計画・トレーニング・ソリューションを開発するPrecisionOSが、FDA承認を取得した。同社が開発する「InVisionOS」は、既存のPACS(医療画像管理システム)と連動し、患者毎の医療画像データに基づいた3D(VR)解剖モデルを短時間で作成できる上に、医師が所有するVRヘッドセット(Oculus)にデータ共有し、手術計画の作成を行うことが可能。更に同社は術前計画のみならず、VR空間での手術トレーニング・ソリューションも開発中。後者は主に整形外科手術にフォーカスしており、脊椎手術メーカーのNuVasiveが同社のプラットフォームを用いた手術トレーニングを病院向けに提供予定。


記事提供者
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エム・シー・ヘルスケア株式会社

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