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【ウェビナーレポート】病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向①

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目次

2021年10月29日に開催しました「病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向」のウェビナーレポートをお送りします。

エム・シー・ヘルスケア株式会社 顧問

山田 謙次

元野村総合研究所コンサルティング事業本部プリンシパル。特にデジタルヘルス・医療・介護・医薬等のヘルスケア分野における事業戦略策定支援を担当。

1.はじめに

1)本日のテーマについて

本日デジタルヘルスというテーマを掲げさせて頂きましたが、6月開催のウェビナー「病院ITシステム導入による働き方改革」では、病院のITシステムの導入やインフラ整備についてどう考えていくべきかということを、特に働き方改革の環境を交えて見方、考え方を弊社CMOの小西よりご提示いたしました。そもそも、やはり病院のIT導入あるいはインフラ整備というのは費用対効果やセキュリティの観点からも、なかなか判断が難しいものがございます。

一方で本日はデジタルヘルスということで、これは病院の外で起こっている様々なIT技術、あるいはスマートフォンのアプリケーション等の技術、そういったものの中で医療に関わるものというのが多数出てきております。このような情報は世間に氾濫していますが、なかなかそれの成否であるというか真贋といいますか、これはいったい何の役に立つのか、あるいは役に立ちそうなんだけれども病院経営の観点からみたらどうなんだろうと、何に着眼して導入の可否を考えていけばよいのかと、そういう判断が難しいのでございます。

そこで、デジタルヘルスに関わる様々な技術について、検討するための判断軸をご提案するのが、本日の主なテーマでございます。

2)前回ウェビナー「病院ITシステム導入による働き方改革」の振り返り

以前開催した6月のウェビナーでは、医療AIやスマートホスピタルというのは、拙速な導入を考えてしまうと、歪んだものになってしまいますよという話を申し上げました。

下記図を見ていただきますと、左側に診療系のもの右側に非診療系のものあるいは顧客系の仕組み・システムという流れになっておりますが、どうしても病院の中ということになりますと、ドクターを中心に医療職の方々はこのデジタルヘルスのような領域というものに非常に関心をお持ちであります。当院ではこういうものに取り組まないのかと、こういうものを導入したいんだけどどうだという話が、それぞれのご関心あるいはお立場からある意味脈絡なく出てくる場合がございます。

一方でこの右側の事務系システムや職員向けシステム、患者向けシステムというところは、それほど関心が持たれづらいという面がございます。そういう声の大きさというものに引きずられるような形で、左側の方ばかりに意識が向いてしまうと全体としてのバランスが崩れ、歪んだものになってしまいますよ、といったお話でした。

またDX(デジタルトランスフォーメーション)、つまり、情報通信あるいはITの技術を使って経営の中身まで変えていくという考え方が企業も含めて社会全般にあります。あるいはスマートホスピタルという言葉がよく聞かれますけれども、これはバズワードではないか、と感じております。

名前はいいんだけれども中身が非常にはっきりしなかったり、あるいはものによっては少し間違った方向に引きずられてしまうものがあったりと、本当に役に立つというレベルのものが足並み揃って出てきているレベルではないと。ですので、まだ病院DX時代というには少し早く、それよりも院内のシステムや連携、あるいは人材の育成といったような観点からの業務効率化や医療の質の向上をまず第一に考えたほうがよろしいのではないかという、そういうお話をさせて頂いたわけでございます。

とはいえですね、バズワードに惑わされてはいけないんだけれども、デジタルヘルスの中でもそれなりに検討に値するものはあるはずであるということで、今日のセミナーでは、デジタルヘルスにはどのような種類のものがあり、どんな考え方で検討すればいいのかというような視点を、私個人の考え方をもとにいくつか提示させていただきたいと思います。当然、それぞれおかれている状況やお立場も違うわけですので、あくまで一例としてご参考にしていただければと思います。

3)本ウェビナー「病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向」でお伝えしたいこと

さて、本日お伝えしたいことです。一般にデジタルヘルスと呼ばれる領域において、かつてあのCT、MRIが出てきたとき、あるいは内視鏡とか腹腔鏡の様な技術が出てきたとき、これらの医療技術というものは診断や診療をより良いものに変えてきました。アウトカムもよろしいし、それから侵襲性が低いということで患者のQOLにも非常に良いと。そういったものには積極的に診療報酬がつき、医療そのものの質を上げていくというのに役立った技術です。

現在デジタルヘルスと呼ばれているものは、そのような技術なのだろうかと考えますと、はっきり見えてこないということがあろうかと思います。しかしその中でもいくつか、診断や診療をより良いものに変えて治療成績を向上させる、そういった水準の技術というものが存在し始めております。

一方で医療技術の承認制度あるいは医療保険制度、診療報酬の枠組み等というものは、このデジタルヘルスの進歩に合わせて変えているというわけではありません。もちろん、諸外国においては別の考え方を用いて、別枠で採用しているというケースはございますけれども、現在の日本ではあくまでも医療機器あるいは医薬品の承認制度やそれに関わる保険制度というものを前提にして対応しております。よって、同様の考え方での臨床試験あるいは経済性の証明というものが求められています。

これの良し悪しについてはここでの議論は差し控えたいと思いますが、現在の医療制度の中で有効性あるいは費用対効果(病院の収益性を含む)が認められた技術であれば、その導入の検討は、新しい医療機器が登場して来た時と同じ基準で考えてもよいのではないか。つまり、これからの医療に有用であって、かつ診療報酬との裏付けがしっかりあり、医療機関として取り組む価値があるというところをちゃんと認められれば、当然それは今までと同じように導入を考えたほうが良いということであります。

さて、どの技術から取り込むべきなのかや、あるいは先行すべきなのか、待つべきなのか。これはもう今までのものと同様に、投資判断として考えるべきものですね。これは病院としての診療あるいは経営方針に沿うものですので、一つの答えはございません。それぞれの状況に沿うということですけれども、病院にとって以下のような便益があるのかという判断軸を一つ一つ持って検討してはいかがかなと思います。

まず、その病院の医師あるいは診療課の様々な責任者の方々が考える治療の発展方向に沿っているものなのか、診療プロセスをどう変えていくのか、その結果治療成績が上がるのか。また、そういうものが医師の働くモチベーションにつながるのか。こういった事に積極的に取り組み、そのことによって今まで得られなかったアウトカムを出せるということ。それができる環境がこの病院にあるということが、医師のモチベーションにつながります。これは従来の高度な医療機器でも同じようなことがあったでしょう。

それから経営面、安全面でプラスをもたらすか。これは報酬上の評価だけではなく、医療の安全性の向上というものにも寄与するものがございます。場合によっては直接収入面でのプラスはなくても投資として行うべきものがあるかと思います。それは集患につながり、結果的にその収支にも影響を与えるということがございます。最終的には自院の差別化、競争力の向上につながるのかとこういう観点で見極めていくということができる段階に入ってきたのではないかと思います。

下記の図は、経済産業省の新事業創出ワーキンググループにて作成された図でございます。

今デジタルヘルスというのはまだ明確な定義がありませんので、様々な人が様々な定義で語る部分がございますが、様々なバズワードの疑いがある言葉も含めて、政府の方では、こんな整理をしたということで参考のためにあげさせていただきました。

この会議において論点が3つ設定されております。論点①は、この左側にあるような予防や健康増進の領域、非医療行為のサービス品質確保です。論点②が、左下の青い枠で囲まれている部分である非医療機器の信頼性確保、それから論点③ということで PHR(Personal Health Record)の利活用があがっております。

本日は、時間も限られており、病院経営に関するテーマということで、この真ん中の黒い点線の枠で囲まれております診断・治療であげられているところを中心にお話させていただこうと思っております。

もちろん、この左側にあるように、例えばウエラブルの様々な生体情報というものをスマホや時計状の機器で採集をして医療につなげていくことも考えられてはおりますけれども、今まだ技術的あるいはその適用の方向性も純粋に医療水準まで達してないのではないか、という認識です。比較して、この真ん中の黒枠の中にあるものというのは、直接医療・診療に関わるものでありますので、まずはこういったものから、深く検討する必要があるのではないかと考え、今回テーマとして限定させていただいております。

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記事提供者
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