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【ウェビナーレポート】病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向②

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目次

2021年10月29日に開催しました「病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向」のウェビナーレポート②をお送りします。

エム・シー・ヘルスケア株式会社 顧問

山田 謙次

元野村総合研究所コンサルティング事業本部プリンシパル。特にデジタルヘルス・医療・介護・医薬等のヘルスケア分野における事業戦略策定支援を担当。

※①については、以下のウェビナーレポートをご覧ください。

【ウェビナーレポート】病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向①


2.デジタルヘルスにおける13のトピックス

今回は、13個のトピックスについてお話させていただきます。

下図のように流れを書き出してみると、診療プロセスの中に取り込むことが可能なデジタルヘルスの新技術がすでに複数出てきている、ということがわかります。今回は、アウトカムや収益に直接影響を与える可能性があるものを「知っておくべき」と定義し、抽出してご紹介させていただきます。

1)マイナンバーカードの保険証利用

マイナンバーカードの保険証利用の話から始めさせていただきます。

これは、患者の資格確認の方法として、マイナンバーカードに最新の医療保険情報をいれておくということでございます。レセプトの電子請求データや支払い金と連結させることで、医療機関側における資格確認業務の軽減が可能です。マイナンバーカードがちゃんと普及し、保険証の代わりとして機能すれば、純粋に業務効率化が図れますので、この仕組み自体には、投資に見合う効果も期待できます。また、将来この仕組みが前提として広く普及すれば、対応せざるを得ないことにもなります。しかし、現在このカードをすぐに保険証のかわりに使える方は、国民全体の数パーセントにすぎません。ですので、これについてはどの程度のスピード感で対応したらよいかと少し悩ましいところでございます。

ただ本来考えるべきポイントは、網羅性が保証され信頼性も高い患者の治療歴、薬歴あるいは健診データを参照する医療プロセスというものに、各病院でどう取り組むかというところです。このPersonal Health Recordは、各社それぞれの立場で様々な技術開発がされております。また電子カルテの連携というものも、すでに一部の地域、あるいは一部のグループの中で行われています。

しかし、患者さんの医療情報というものが使えるときもあれば使えないときもある。あるいは連携先から提供されるものもあるけれども、その信頼性や網羅性等は、不確実性の高いものです。今までは、その時々に医師の判断で参照することにしていたわけですが、近い将来、網羅的にどの患者さんにも薬歴検診歴、あるいは治療歴もレセプト上の治療歴であれば参照できるということになります。これを前提とした医療プロセスというものをどう組むのかということが問われている状況であります。

マイナンバーカードの保険証利用については、2021年10月20日から本格運用ということになりました。本人の確認、本人の同意が必要ということもあり、手順が少々大変ですが、まずは薬剤情報、特定健診の情報から閲覧できるということになっております。2022年1月には、レセプト情報を拡大し、手術、移植、透析、医療機関名等が追加される予定です。追加される範囲については、まだ明確に示されていないのですが、これにより治療歴の共有が可能になります(※2021年10月ウェビナー開催時点の情報です)。その他、電子処方箋や生活保護受給扶助の仕組み等の派生部分も含め、だいたい2023年頃には一通りの情報提供が行われる予定になっております。現在であれば3年分、特定健診等の場合では5年分の情報が参照可能となっております。

費用については、おおよそ1000億円強の予算を組んで補助をするという計画になっております。カードリーダー等は最低限の台数を無償提供ということですが、ソフトウェアやネットワークの環境、あるいはレセコンや電子カルテ連動のためのシステム改修費というものが必要になります。補助については上限が設定されており、約100万円程度を上限としております。ただ、四病協の緊急調査(見積取得)の平均では、パソコンの費用だけでも70万、ネット費用でも70万となり、とてもこの100万の補助では足りません。そうなると医療機関の持ち出しになりますので、医療機関側が導入について、どれだけの効果を認めるかというところが判断軸になります。

資料によりますと、病院のカードリーダー申込は、現在時点で7割以上という結果になっております。おそらく、体制としては皆さんも取り組むということを前提とされているのだろうと推測されます。ただ、カードの交付状況がまだ4割程度ですし、保険証利用登録という手続きが必要ですが、これはまだ交付数の10%程度しか実施されていないということです。

利用登録については、これからどんどん増えていくとは思いますが、とはいえ、カード自体の交付がまだ4割です。このような状況については、今回の新型コロナウイルスで受ける現金給付等でも、この仕組みが使えるようで使えなかったという現実がございました。政府としても、改めて積極的に普及させる活動をしていますが、2021年9月の時点では、まだ人口の4%しか使えないということですから、先行投資をしても当面はなかなかそういう患者さんが来てくれないかもしれません。

しかし、先ほど申し上げたように、資格確認の事務的な手続きや、それ以上にこのPersonal Health Recordを参照することを診療プロセスの中に組み込んでいくという、この体制をつくる必要性が出ているということであります。これは、それぞれのドクターにお任せするのではなく、病院としての仕組みをしっかり考えていく段階にきていると考えてよいでしょう。

ただ、導入時期については、利用者増と睨みながらということになろうかと思います。先ほど申し上げたように医療機関の持ち出し分がちょっと大きすぎるので、すぐに電子カルテとの連動等までやるのかどうなのかというと、まだ難しい部分があり、各医療機関の立場での検討が必要になるかと思います。

2)WEB型問診システム

次は、WEB型の問診システムです。

この多くは、初診患者さんが来た際、どのような診療科、病名を疑うかという、初期的な診断を支援する仕組みとして使われています。ただし病院の場合、通常は患者さんが診療科を選んで受診されますので、診療科を規定するというよりは診療前の状況把握という意味合いが強いですね。通常の問診は、紙一枚くらいで実施されている場合も多いかと思いますが、病院によってはナースの方が直接、色々と情報収集していることもあろうかと思います。あるいは場合によっては、再診以降はまったく行っていないケースもあるかもしれません。どちらにしろ、診察に入ると、ドクターがほぼ問診に近いことをやらざるを得ないわけですので、その情報が先に整っているということを、診療上どれだけ価値があると認めるかということになります。

また今出ているシステムは、多くの場合、外部サーバーに患者さんの回答内容を転送いたします。そういたしますと、病院でのセキュリティやプライバシー確保の方針・方策、規定の整備が前提になります。これがないと使えないということになりますので、この辺りの問題にも対応する必要がございます。

WEB問診システムが保有する機能は、近年非常に充実してまいりました。しかし、最終的な疑い病名を出していく時のプロトコルをどこまで信じるかというのは、難しいところがあります。この診断プロトコルというのは原則ブラックボックスでございます。各企業が検証を行い、かなり適正な判別ができているという判断をされたものが、機能として装備されているわけです。もちろんそのまま病名として採用されるわけではなく、そこから医師の診断が入りますので、その前提と言いますか付属情報として使うこと自体を価値あるものとして認めるかどうかということがポイントかと思います。

サービスを提供する会社は、資料に掲示した会社も含め、現在約10社程度となります。機能的には、各社それほど変わらないかと思いますが、費用についてはそれぞれ考え方があり、初期費用で概ね賄うというところもあれば、使った量だけ支払うというところもあります。サービス選定に関しましては、自院で使用されている電子カルテ等との連動性もひとつの観点かと思います。しかし、どれを選ぶか以前に、こういったシステムに積極的に取り込むのかということについて、ドクターのお考えなどをよく聞いていただくことが重要かと思います。

基本的には、診断の一助にはなるという評価がすでに出ております。一定のお金がかかることはかかりますけれども、それほど大きな金額ではございません。ですので、このシステムをどう使うか、診療の中での位置付けが明確であれば、積極的に活用してもいいのではないかと考えます。

→ 【ウェビナーレポート】病院の経営管理者が知っておくべきデジタルヘルスの動向③へ続く

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エム・シー・ヘルスケア株式会社

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