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【事例:HITO病院】ITへの投資こそDX成功への秘訣①

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【医療機関のIT活用事例】2024年医師の働き方改革の施行が迫っており、医療現場でもITを有効に活用した取り組みに注目が集まっています。本記事では、ITを駆使して仕事の効率化を進めるHITO病院の取り組み事例をご紹介します。


ITへの投資こそDX成功への秘訣①

社会医療法人石川記念会 HITO病院

(理事長) 石川 賀代 /(脳神経外科 部長 兼 DX推進室 CCTO) 篠原 直樹

(DX推進室 HIA) 村山 公一 /(DX推進室長) 佐伯 潤

CCTO:Chief Clinical Transformation Officer  HIA:Hospital Infrastructure Architect


(以下、敬称略)

はじめにHITO病院のご紹介をお願いします。

石川▲当院は愛媛県四国中央市にある病床数257床のケアミックス型病院で、開設以来、急性期を担う地域の二次救急病院として、24時間365日の救急診療を行うほか、脳卒中、がん、心疾患、糖尿病の4疾病に対応するなど、人口約8万5千人の四国中央市の中核病院として、病院名の由来でもあるHITO(資料1)を行動規範として、地域の「いきるを支える」を実践しています。関連法人として、医療法人健康会、社会福祉法人愛美会等があり、総スタッフ数1,300人、石川ヘルスケアグループで医療介護の複合体を形成しております。

HITO病院のDXの推進体制やこれまでの取り組みについて教えてください。

石川▲DX推進は理事長直轄組織であるDX推進室を中心に行っていて、篠原、佐伯、村山の3名がそのメンバーです。

篠原▲ICTで現場の課題を解決するために、当院が最初に行ったのはiPhoneの導入でした。iPhone上の業務用SNSでメディカルスタッフ間のコミュニケーションを可能とすることで、時間的な制約を取り外し、その後、iPhoneを用いてカルテを閲覧できるようにしたことで、場所に縛られない情報共有とコミュニケーションが可能となりました。最近では、AIを活用した課題解決に取り組んでいて、例えば看護記録をベースに転倒転落リスクの把握に努めているほか、今年度中には脳卒中に関する画像診断でのAI活用も予定しています。他にもロボットリハビリやRPAの活用・展開も行っています。また教育に関しても、看護師にiPadを配布してeラーニングを促進するなど、これまでとは異なる教育システムの構築をスタートしたところです(資料2)。

先進的な取り組みをされていますが、ここまでITに注力されている背景を教えてください。

石川▲私たちの地域も、高齢化がかなり進んでおり、今後は働き手が減っていくことに、5年くらい前から危機感を抱いていました。私たちの掲げる「いきるを支える」という理念は、高齢者を支えることでもありますが、そのためにはさまざまな課題が多くあります。その中で、ある程度の業務効率化を図りながら、医療の質を落とさずに、この両輪をしっかりとつなげて回していくためには、やはり早くからICTの利活用に取り組まなければいけないと考えていました。また、単にICTを利活用するだけでなく、ロボットなどを通じて業務効率化と医療の質の担保を実現したいという気持ちを持って、「未来創出HITOプロジェクト」を立ち上げ、医師らの働き方に変革をもたらし、患者さまへのサービスにも変革をもたらすという取り組みを行ってきました。そこから徐々に今の形に変わってきています。

医師の働き方改革というテーマもある中で、リモートで院外からカルテ画像を見るなどのITの活用で、医師の時間外での負担も減っているのでしょうか?

石川▲すべての時間数を見ているわけではありませんが、病棟からのコールが少なくなったとの声は聞いています。当院は二次救急病院ですから、24時間365日で救急患者を受け入れなければなりません。オンコールで自宅待機をしている医師にとっては時間や場所に縛られずカルテを見られることで、救急外来からコンサル依頼があった場合も画像を確認してから、駆け付けるかどうかの判断ができますし、休日後の回診もデータを事前に見たうえで、普段どおりに出勤しても大丈夫などという判断ができる可能性もあるので、事前に確認ができることは非常に大きいと思います。

また、業務用SNSなどを通じて院内のスタッフとはつながっていますので、何かあった際に院内にいる医師に依頼することができるのも負担軽減につながっていると思います。実際に篠原先生も実践していますよね。

篠原▲今年5月に心・脳血管疾患センターを開設していただいて、脳神経外科医と脳神経内科医が常駐しています。その中で、院外でモバイルカルテを見て、スタッフ間のやり取りもSNSででき、また院内の専門医に指示ができるようになりました。地域の医師不足、医師偏在という課題がある中で、ICTの活用によって人をたくさん抱えなくても、これまでの質を落とさずに働くためには、こういうやり方しかないのかなと思います。

何か、模範とされているモデルがありましたか? それともオリジナルのアイデアでしょうか?

篠原▲モデルはありません。自分自身が脳神経外科で1名だった頃があり、その時にものすごく忙しかったので、スマホを導入して業務用SNSを私の関係部署との間で使ったところかなりの効果があり、そこから始まったという流れです。今は院外でもセキュアな環境で見られるように進み、当院内で他の先生方にも広がっています(資料3)。

日本初のiPhoneカルテ「NEWTONS Mobile」を使われているとのことですが、これはiPhone上でカルテが見られるというものなのでしょうか?

篠原▲iPhoneは、スマートフォンの中でもiOSを使ったセキュアなデバイスです。もともと、看護師向けにiPod touchでWi-Fi経由でカルテを見るシステムが、当院が採用している㈱ソフトウェア・サービスの電子カルテにあり、これをiPhoneで使えないか、同社と相談しながら実用化することができました。iPhoneを用いて、というのは日本で初めてのケースとなります(資料4)。

音声についてはAmiVoiceを使って記録させていますか?

篠原▲はい。最初はナースカート上のノートPCにマイクをつなぎAmiVoiceで音声入力をしていましたが、機動力の点で融通が利かず、こちらもモバイル版の開発を㈱アドバンスト・メディアに依頼し、iPhone版アプリを共同開発しました。ただ、入力はフリック入力のほうが早い人もいれば、PCでの入力のほうが早いという人もいますので、音声入力を強制しているわけではなく、スタッフの選択に任せている状況です。最新版では電子カルテのワードパレット機能との連動が実現し、定型文をモバイルカルテに呼び出し、一部だけを音声入力で効率的にカルテ入力ができる仕組みが整いました。忙しいスタッフは、これでカルテ入力の効率が上がっています。中には今までどおりの人もいますが、これからは、いかにカルテ入力を効率化できるかが大事になると思います。

→ 【事例:HITO病院】ITへの投資こそDX成功への秘訣② へ続く

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●収録日:2021年10月25日

●施設概要

病院名:社会医療法人石川記念会 HITO病院

所在地:愛媛県四国中央市上分町788-1

電 話:0896-58-2222

病床数:257床

一般119床、HCU12床、SCU6床

緩和ケア17床、回復期リハビリテーション50床

地域包括ケア53床

●転載元

医事業務 No.618(株式会社産労総合研究所 2月1日発行)

特集1 仕事の効率化を図る《IT編》

ITを有効に活用して医療従事者の働き方を変える

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/


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産労総合研究所

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