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【補助金・助成金に関する基礎知識】補助金専門部隊を活用した戦略と留意点

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目次

【補助金・助成金に関する基礎知識】新型コロナウイルスによる影響で医療機関の収益が大幅に減少する中、補助金を如何に漏れなく申請し、最大限に活用できるかは、病院事務職の手腕によるところが大きいのではないでしょうか。そこで本記事では、補助金専門部隊を活用した戦略と留意点について紹介致します。


【補助金・助成金に関する基礎知識】補助金専門部隊を活用した戦略と留意点

咲デザイン 代表 / 一般社団法人 医療・福祉連携支援センター 副代表理事 

大山幸一

広告代理店株式会社ADKホールディングス、システム会社を経て、2013年社会医療法人石川記念会HITO病院へ入職。経営企画室を兼務しながら、広報課・秘書課・医療クラークの部署長として戦略広報業務に従事。2018年に咲デザインを設立し、病院・施設を中心に一般企業まで幅広く支援を実施。新規企業立ち上げ5社以上支援。主業務は、経営戦略からブランディング活動、院内外への渉外活動、デザイン・HP制作まで一貫した戦略支援・広報支援を行う。2019年一般社団法人医療・福祉連携支援センター副代表理事に就任し災害医療やBCP、危機管理にも従事している。


1.予算のスケジュールと予算化を練る企業の動き

補助金は知っておくことが大事なので、できるだけ多くの補助金について紹介していきます。まず一般企業がどのように予算化を狙っていくのかを知り、自院での戦略に生かすことが重要です。資料1の予算スケジュールに対して、政策立案の1~2年前からアプローチを始め、予算編成が方針立てされるまでにはすでに仕様書等まで固めてしまうように動いていきます。つまり自社が入札等でも受注しやすい方向に予算化を誘導します。

基本的に一般企業では、商品を開発して収益事業を行っているため、商品の特徴をいかに仕様書に盛り込めたかどうかで、予算化された補助金等を受注・獲得できる可能性が変わってきます。それゆえ、政策立案検討フェーズをまずは目指して動いています。

多くの一般企業は補助金専門部隊をつくり、省庁ごとの専門部隊がそれぞれに対して営業活動をしているので、都道府県で交付される半年から1年前にはもうすでに情報を知っているという戦略を展開しています(資料2)。

ちなみに令和4年度の一般会計概算要求は、新型コロナウイルス感染症対策、ICTやDX化関連が多く、厚生労働省(以下、厚労省)や総務省の予算が飛び抜けて大きくなっています(資料3)。

省庁の予算は前年度よりも増えているので、今後の施策活動に注目していく必要があります。

2.補助金の検索方法

 いくつかの検索サイトを紹介します。

(1)助成金なう

進捗情報が盛んに出てくるので役立ちます。ただ、検索した時に公募が終了しているものも出てくるので、検索条件等に注意して使う必要があります。


助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」トップページ | 株式会社ナビット

navit-j.com

(2)補助金ナビ

厚労省以外の経済産業省や国土交通省などの省庁の補助金も取り上げられているので参考にされるとよいでしょう。


補助金ナビ:令和元年度補正予算、令和2年度第三次補正予算「低感染リスク型ビジネス枠」、2021年実施「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」等に関する情報のご提供。ものづくり補助金/小規模事業者持続化補助金WEBセミナー実施中! 補助金のことなら補助金ナビへ!

補助金ナビ:補助金情報なら補助金ナビ。ものづくり補助金WEBセミナー/小規模事業者持続化補助金WEBセミナー実施中! 認定支援機関オフィスマツナガ行政書士事務所(東京都港区)

hojokin-navi.com

(3)補助金ポータル

検索で調べるなら使い勝手が良い補助金のサイト。都道府県をベースに調べて、医療など、多様な目的ごとに調べられますが、医療関係が分からなければ「全選択」を使って検索すると、今、募集中のものだけ絞り込めるので便利です。


補助金ポータル|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル

補助金ポータルは、助成金や補助金を分かりやすくまとめた総合情報サイトです。各種補助金や助成金の申請方法、条件についての情報や関連ニュースなどをお届けしていきます。助成金についてさらに詳しく知りたい方は、無料相談窓口もあるので、お気軽にお問合わせください。

hojyokin-portal.jp

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3.補助金の紹介(抜粋)

厚労省の補助金はすでに病院さま宛てに通知文が来ていて、ご存じの内容も多いと思うので一部だけ紹介します。

(1)医療提供体制施設整備交付金

医療計画に沿った施設整備を行う際の交付金で、「医療計画等の推進」「施設環境等の改善」「医療従事者の養成力充実」などに関する事業が対象となります。補助金対象内容や募集期間等は各都道府県ごとに制定されており、その種類も豊富となっています(例えば大阪府では類似の種類含めて10種類以上出ている)。令和3年度で約25億円予算化されており、ご興味がある際には、自院の都道府県と補助金名で検索するとすぐに見つけられます。

(2)令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止継続支援補助金 追加発令分

これは以前の令和3年9月までの経費とは別に追加申請可能なもので、申請期間が令和4年1月31日までとなっています。病院・有床診療所は10万円、無床診療所は8万円、薬局・訪問看護事業者・助産所は6万円が上限額となっており、新型コロナの感染拡大防止対策に要した経費が対象です。特筆すべきは、空気清浄機や紫外線殺菌照射装置、Wi-Fiの整備なども対象です。

(3)オンライン資格確認関係補助金、保険医療機関等向け医療提供体制設備整備交付金

本補助金の対象は、顔認証付きカードリーダーが医療機関および薬局に無償提供され、それ以外にもマイナンバーの読み取り・資格確認等のソフトウエア・機器の導入、ネットワーク環境の整備、レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修等にかかる費用まで含まれます。顔認証付きカードリーダーは病院3台まで、診療所等1台まで提供され、導入台数に応じて補助の上限金額が変わります(資料4)。

条件としては事前にポータルサイトで申請を行い、令和5年3月31日までに対象の事業を完了させ、令和5年6月30日までに補助金申請を完了させる必要があります(資料5)。

事前登録されているベンダーの機器やソフトウエアしか使えないことや、ポータルサイトで申請をしていく点にご注意ください。

(4)IT導入補助金

これは厚労省以外のもので、締切日は令和3年12月22日でした。通常枠(A・B類型)は、医療法人も含めた中小企業の経営課題やニーズに合ったITツールを導入するものです。低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)は、ポストコロナの非接触・非対面化の取り組みのための支援についてのものです。

細かく類型が分かれていますが、導入するソフトウエアで対応プロセスが定められており、そのソフトがプロセスの業務をクリアしている数が1つだとA類型など、やりたい業務プロセスがどこまでクリアできるかによって申請枠が変わります。

補助対象経費については、ソフトウエアやオプション、役務によって分類が変わってきますが、申請する枠によって条件も変わるのでご注意ください。

補助対象は医療法人、社会福祉法人、学校法人のほか、組合関係やNPOなども対象になりますが、従業員数300人以下のため、中規模病院以上は難しいかもしれません。

(5)LED整備関係の補助金

残念ながら令和3年度は2種類の要求が終了していますが、こういう省エネ化は増えてきているので、来年度に向けて知っておくことが大切です。「先進的省エネルギー投資促進支援事業」は空調等の設備関連が補助対象となり、その中の調光制御設備がLEDに該当します。そのほかに空調や栄養課で扱うような業務用冷蔵庫も含まれます。中小企業に加え、自治体系病院も含まれる大企業も対象となる幅広い補助金で、令和4年度の概算要求額は350億円です。「既存建築物省エネ化推進事業」は令和4年度の概算要求額で87億円となっていますが名称変更した「環境・ストック活用推進事業」に含まれます。LEDだけでなく建物全体の改修を行う時に活用でき、補助金額もかなり大きくなっています。

(6)中小企業等事業再構築促進事業

まず、3つの必須条件があります。具体的には、コロナ禍の中で売り上げが下がったことに加え、事業計画を金融機関等と策定し、補助を受けた後に収益が一定額以上、上がっていく計画であることが必要です。事業再構築の定義は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つに分類されています。対象となるのは中小企業ならびに中堅企業です。医療法人は中小企業ですが、社会医療法人、社会福祉法人、企業組合、公務員共済組合、学校共済などは中堅企業に属する形になります。補助対象経費は、建築物、外注関係などのほか広告宣伝費まで入ります。ただし、人件費やパソコン、スマホなど汎用品に加え、通信費や水道光熱費などランニングコスト関係は対象外となるのでご注意ください。医療機関の場合ですと、例えば訪問系施設等を吸収して新事業を手掛けたり、新会社を設立して訪問系事業を見守りサービス+栄養弁当の配達を行う事業に転換するなど、本業とは違う事業に転換させたり、不採算部門を別会社にして業種を変更させる行為等が対象となります。これから事業体の幅を広げるため、M&Aを含めた経営戦略に活用できる補助金です。

(7)日本財団の補助金

対象は一般財団法人など非営利活動・公益事業を行う団体で、まちづくり、命を救う、文化・共生などに関連したものになります。補助率は事業規模等に応じて財団法人と協議しながら80%以内で決定されます。実際の事例としては、「筑波技術大学」さまが聴覚障害者のためのキャリアサポートセンターの設置や教育機関のための音声認識技術を組み込んだ情報補償システムの開発に補助金が出ているほか、「医療法人かがやき」さまでは、地域連携ハブ拠点として障害を持たれたお子さま向けの入所施設(医療機能有する)、メディカルフィットネスなどでの小児医療機器に助成が出ています。ほかにも、検診車の整備や、大会や学会関係にも助成金が出たケースがあります。また、過去には全国128の救急医療施設に対してコロナ関連として防護服や院内ゾーニング、感染防止体制の資機材の購入費など総額約50億円の支援を行っています。

(8)都道府県からの助成金

全部は説明しきれませんので一部抜粋して紹介します。

①東京都「入退院時連携支援事業補助金」

200床未満の都内の病院に適用という条件がありますが、これは入退院時の連携支援に取り組む人材育成や在宅療養に当たる人材に対して、1人につき、360万円を12で割った額が配置月数に応じて毎月補助されます。補助率は、要件をどれだけ満たしているかによって2分の1もしくは4分の3となっており、対象経費は研修を修了するための社会福祉士ならびに看護師の人件費となっています。

②大阪府「地域医療機関ICT連携整備事業」

病診連携を進めていきたいという目的で、病診情報システムの導入や病診情報システム機能の追加や拡充などにおける工事請負費、委託料が対象です。メリットは、病診連携がしやすくなるということですが、国が進める病診連携や地域包括ケアシステムの動きに沿った補助金が出るので、今後の予測としてへき地への遠隔診療等の収益化が厳しい事業を後押しする補助金になる可能性があります。補助額は4,000万円で、上限は2分の1で2,000万円まで補助されます。

4.情報共有と補助金専門部隊を活用した経営戦略を

補助金・助成金を経営戦略にも組み込んでいくことが重要で、補助金の情報を収集する部隊をつくることが大切です。すでに現時点で申請締切が過ぎていても、どんな補助金の種類があるのかを知っておくことで、次年度に同様の補助金がついたときの計画をあらかじめ立てておくことができます。急に「来月までに申請してください」と言われても1カ月で計画を立てることは難しく、事前に業者への見積もりや、施設のどこをLEDに変えようかなど、院内での事前調整も必要です。そういう意味でも、事前に情報を知り、計画を立てた準備が補助金採択の秘訣です。また、一般企業の事例を紹介したように、行政やステークホルダーとの情報交換やパイプづくりを心掛け、他病院、他府県同一県内でも顔の見える関係をつくっておき、情報共有することが有益です。補助金情報を多く知り、常日頃、検索サイトを巡回するなど、補助金専門部隊を活用した戦略などをぜひ経営戦略に組み込んでいただければと思います。

5.質疑応答

Q:補助金等の効率的な見つけ方はありますか?

A:先ほど紹介した検索サイトの巡回のほか、各行政のホームページを閲覧します。省庁関係は検索しても出てこないこともあるので、行政とパイプをつくりながら他病院と補助金について情報交換をして、必要な情報を集められるようにすることが大事です。一般企業のように補助金専門部隊をつくれなくても、各都道府県・市町村にある文書室で保管されている予算書を閲覧することで事業や交付金について知り、詳細を担当課にヒアリングをして当該事業の内容を確認するなど、自分たちのやりたいことと補助金が対応しているかを確認するとよいと思います。

Q:病床数の多い病院では、厚労省以外の補助金が該当しづらく感じますが対策はありますか?

A:今は新型コロナ対策で、厚労省の補助金が出ています。経営戦略等にも関係するので一概には言えず予想になりますが、地域包括ケアシステムでも分かるように地域との連携や他業種とのコラボ・協業を国が医療機関に求めてきている傾向が高いです。本日紹介した「事業再構築促進事業」のように、別業種とのコラボが前提の補助金など、通常の医療から福祉も含めた新しい分野を視野に入れた業種を狙うとか、新会社を設立して、医療福祉関係の広がりを見せる業態までカバーした収益化を戦略に入れていく必要があります。医療だけの補助金を狙うとどうしても厚労省だけになってしまうのですが、自分たちの医療圏の中で医療に限らず、例えば福祉や給食事業など別事業体に対しての視野も広げながら戦略を考えることで、他の省庁の補助金も絡めやすくなると思います。

Q:令和4年度の概算要求が出ていますが、どのような補助金がありそうですか?

A:概算要求されている詳細項目も財務省の予算書を見ると中身の説明までは書いておらず、医療機関に該当するかどうかは蓋を開けないと分かりづらいです。予測ですが、今後も含めてコロナ関連、病床再編関連は絶対来ると思いますし、マイナンバーの推奨を背景としたマイナンバー関連の補助金は間違いなく継続されてくると思います。そのほかICTやDXといったデジタル化と省エネ化は、全世界がそういう方向に流れてくるでしょうし、それに一致させたい国の意向でもあるので、建築費や委託費などどこまでの費用が入ってくるかはこれから分かることになりますが、間違いなくIT化は継続されると思いますので、その辺りを踏まえる必要があります。あとは防災関連で、今まで多かった震災関連の保証補助金が少しずつ目減りしてきているので、予防防災という補助金も今後少しずつ増えてくるかと思います。

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●収録日

2021年12月3日

●転載元

医事業務 No.619(株式会社産労総合研究所 2月15日発行)

特集1 

病院経営に役立つ補助金の知識

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/

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産労総合研究所

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