医療に携わる
あなたの仕事を効率化

医療機関事例

【事例:HITO病院】ITへの投資こそDX成功への秘訣②

アイキャッチ画像
目次

【医療機関のIT活用事例】2024年医師の働き方改革の施行が迫っており、医療現場でもITを有効に活用した取り組みに注目が集まっています。本記事では、ITを駆使して仕事の効率化を進めるHITO病院の取り組み事例をご紹介します。


ITへの投資こそDX成功への秘訣②

社会医療法人石川記念会 HITO病院

(理事長) 石川 賀代 /(脳神経外科 部長 兼 DX推進室 CCTO) 篠原 直樹

(DX推進室 HIA) 村山 公一 /(DX推進室長) 佐伯 潤

CCTO:Chief Clinical Transformation Officer  HIA:Hospital Infrastructure Architect


※前半記事はこちら → 【事例:HITO病院】ITへの投資こそDX成功への秘訣①

(以下、敬称略)

先ほどから非常に先進的な取り組みのお話を聞いていますが、例えば海外の病院内でのICT活用と比べて、何か感じることとかはありますか?

篠原▲海外の情報があまりないので比較は難しいのですが、今の日本で病院以外で使えるテクノロジーをいかに病院に投入するかという視点で取り組んでいます。世間一般で使えるテクノロジーをいざ病院に導入すると難しいことがあるので、そこを早くキャッチして企業と相談しながら投入しています。ですから国内での病院比較では当院は早いかもしれませんが、社会全体から見てすごく進んでいるという感じはないです。

オンライン診療もかなり積極的にされていますか?

篠原▲コロナ禍もあり、オンライン診療ができる体制は早期に整えました。ただ、こればかりは患者さま側がオンラインを希望するかという点もあります。都会ではなく地方の病院ということも影響があるかもしれません。当院としてオンライン診療の環境は整えましたが、実際は皆さまがオンライン診療を活用できているという状況では今のところありません。ただ、ウィズコロナ時代、この先どうなるのか分かりませんので準備はしっかり行っています。

石川▲ほかにも一部ですが、糖尿病患者さまには事前に採血を済ませ、予約制でオンライン診療を行っています。また都会のオンライン診療とは異なるかもしれませんが、MICIN社の「curon(クロン)」を使って、働く世代などの忙しい方たちも便利に使えるようにオンライン診療を行っています。

佐伯▲オンライン診療の登録者数はすでに100名を超えていて、実際にレギュラーで使う方も月10~20名います。1日1件くらい再診等で利用するようなイメージです。

村山▲さまざまなオンラインツールがあるので、患者さまの環境に合わせて糖尿病患者さまでもZoomや「curon」などを使い分けてオンライン診療を行っています。

●関連サービス


curon

オンライン診療

cotocellar.com

og_img

これだけいろいろとIT化を進めていくと、コスト負担も相当大きいと思いますが、病院経営としてその辺りはどのように考えていますか?

石川▲いろいろなセミナーなどにおいても必ずこの質問を受けるのですが、これは電子カルテと同じようにインフラの1つとして考えるかだと思います。IT投資にかかるコストを実際に回収できるところも結構ありますが、それ以上に経営的な判断としてIT投資を行うことをどのようにジャッジするかが大きいです。決して安いものではないのですが、医療機器は買うけれどもこちらはどうするのかという経営判断ですので、時代背景に伴う働き方が求められるなど、時代の変化に伴いコストをかけてどのようなことを目的にしてITを進めていくかだと思います。なので、これだけコストを削減できたという指標を見せるよりは、必要だと思う方はインフラ整備と同様にIT投資を考えてはどうかということを話しています。

これまでの取り組みを通じて、今後の課題などがあれば聞かせてください。

篠原▲今、ICTの活用を通じて進めている取り組みが教育です。コロナ禍では教育の在り方もだいぶ変わってきました。病院においても、時間外、密になれない、集まって勉強できないといった環境下で、いかに隙間時間を使って若い世代の人たちに受け入れられやすい教育を進めていくか、ということを模索してきました。特にZ世代といわれる20代前半や、これからさらに少子化が進んでいく中で働きやすい環境、スキルアップできる環境を、コロナ禍でどう病院として提供していくかということで、学習については新人に限らず、特定行為に関する教育の仕組みも今後変えていきたいと思っています。

石川▲看護師等では、教育のクリニカルラダーが実際にあって、通常は習熟度に合わせて階段状に上がっているのですが、例えば経験年数に応じてラダーがそのとおりに上がらず、個人差が出てきているのが実態です。また、本人が履修できていると思う自己評価と、上司から見た他者評価が合わないこともあり、それが面談や人事考課などで上司が時間を費やす要因にもなります。その割にスタッフの満足度が低かったり、「私はちゃんと評価してもらえていない」という不満につながったりするところもあるので、教育プラットフォームにおいて、どこまで履修できているかを点数化して、ツリーの形で可視化できるものを村山がつくりました。それにより不足部分のフィードバックがしやすくなり、また本人も自己認識ができるので評価におけるミスマッチが減る。この取り組みを今行っています。自分の今の状態が分かったうえで、例えば時間単位で仕事をしたいという子育て世代を中心とした人たちと、認定看護師を目指したいとか特定行為研修を修了してキャリアアップをしたいという人たちとでは、給与ピッチも変わってくるはずなので、来年以降はそこにひも付けていくような取り組みを進めたいと思っています。今はこの教育プラットフォームとのひも付けをしている段階です。

篠原▲あと最近では、少しずつ当院のDX推進についていろいろな病院から問い合わせを受けることも増えてきました。病院の今後を考えると、DX推進は必要不可欠だと思っていますので、私たちが苦労しながら進めていったノウハウについて相談窓口を設けることで、少しでも皆さまのお役に立てられればと考えています。場所や時間にとらわれない働き方で、デジタル化によってリアルとサイバーが近づき、どこにいても病院にいるかのような環境に身を置ける。こうした場所に支配されない働き方ができると思うので、ミラーホスピタルみたいな形の働き方を提供していけるようにしたいとDX推進室として考えています。DXでは、本当にいろいろな方からHITO病院の取り組みが注目されていますよね。今日のお話では、前提に病院の課題があって、それを解決するためのICTだと思いますが、最後に新しい技術やICTを院内に浸透させるにあたってのキーポイントがあれば教えてください。

石川▲新しいアプリを使うときには、現場の人たちにそれが浸透するように、HIAの村山が現場に行って直接教えています。私たちとしてもやはり無理強いはせず、便利だと思う人はどんどん使ってほしいと考えているので、基本は小さく始めて徐々に広がっていく横展開という形ですね。

村山▲実際私は、1日の3分の2は病棟へ足を運び、直接レクやヒアリングなどを行っています。業務やベッドサイドなどでの入力のしやすさなどは実際に見てみないと分からないので、スタッフ一人ひとりと直接接することで、利用方法や工夫が進んでいきます。またHITO病院には「ひとを中心に」という理念もあるので、教え合いの文化が根付いていて、「これ、便利だよ」という声が少しずつ広がっていきます。小さく始めて教え合うことでその便利さが周りに広がっていく。それが浸透の秘訣だと思います。

篠原▲追加するとスマホもそうですが、社会ですでに使っているものを病院に導入していくというのも、多くの人に使われるようになるためのポイントだと感じています。

石川▲先ほど質問のあったシステム導入投資についても、いきなり何千万円もの投資を行うということはしていません。もちろんiPhoneの導入にはある程度の台数が必要でしたが、基本、小さく始めるので、ある程度利便性が高く、アプリの開発についても既存のものと組み合わせるなど、村山が院内で開発しています。何か大きなシステムを初期からドカンと入れる投資は行いません。小さく始めるというのがDXの成功の秘訣だと思っています。                  

――――――

●収録日:2021年10月25日

●施設概要

病院名:社会医療法人石川記念会 HITO病院

所在地:愛媛県四国中央市上分町788-1

電 話:0896-58-2222

病床数:257床

一般119床、HCU12床、SCU6床

緩和ケア17床、回復期リハビリテーション50床

地域包括ケア53床

●転載元

医事業務No.618 (株式会社産労総合研究所 2月1日発行)

特集1 仕事の効率化を図る《IT編》

ITを有効に活用して医療従事者の働き方を変える

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/

記事提供者
記事提供者
産労総合研究所

コトセラやサービスのことなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら