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【事例:信州大学附属病院・丸子中央病院】「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方①

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【医療機関のIT活用事例】2024年医師の働き方改革の施行が迫っており、医療現場でもITを有効に活用した取り組みに注目が集まっています。本記事では、ITを駆使して仕事の効率化を進める信州大学医学部附属病院・丸子中央病院の取り組み事例をご紹介します。


「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方①

信州大学医学部附属病院  経営管理課 病院機能強化係 主査 / 白木康浩

丸子中央病院 情報企画課 課長 / 鈴木 亨


(以下、敬称略)

お二人には『医事業務』(2020年5月15日号No.583)のRPA特集で、RPAを活用した取り組みをご紹介いただきました。今回はIT活用の取り組みや院内での動きについて、より詳しくお話しいただけたらと思います。はじめに自己紹介をお願いします。

鈴木▲丸子中央病院の鈴木と申します。当院は長野県上田市にある医療機関で、病床数は199床、内訳は一般病床99床、地域包括ケア病棟50床、医療療養病床50床となります。加えて介護医療院に97床あります。私はそこでシステムを専用で担当しています。当院は今から8年前の2013年に新築移転を行い、その時に、地域医療を支えていくために、電子カルテの導入も行いました。これまでの8年の間に、7対1入院基本料への移行、地域包括ケア病棟の開設、介護医療院の開設など変化の激しい医療業界の中において、変革してきました。その中でシステムの活用もいろいろと行ってきました。白木さんの信州大学医学部附属病院(以下、信州大病院)とは病院規模も役割も違いますが、そのような中でどういう風にITを活用したらよいのかという視点でお話ができたらと思います。

白木▲信州大学病院の白木と申します。当院については、何度か『医事業務』の誌面でもご紹介いただいていますが、長野県のほぼ中央に位置し、長野県唯一の特定機能病院として高度な医療提供を担っています。私の部署はICT専門の部署ではないため、自分の業務の中でいくらかのエフォートをICTの利活用にあてているのが現状です。大学病院では昔から電子カルテも入っており、電子カルテに関しては、専門の部署はあります。しかし、電子カルテのような大型システムでは、現場の課題をキャッチアップできず業務やシステム間の隙間を埋めることができないといった課題がある中でRPAに着目してきました。今後もRPAに限らずICTを積極的に利活用したいと思いますので、本日はその辺りもお話できればと思います。

昨今の病院を取り巻く環境にはコロナの影響もかなりあったと思いますが、具体的に病院としてRPAの取り組みを始められていますか?

白木▲RPA自体の導入は2018年からです。特に2020年は新型コロナ対応のために、G-MISやHER-SYSといった厚生労働省主幹のシステムが登場し、ファックスのようなアナログな手法をやめようといったことになりました。そこで、システム化されるならRPAを活用して「これはデータがあるから電子化や自動化にしてみよう」ということになり、RPAの知名度向上と定着化が図られました。

鈴木▲白木さんからはいろいろと情報交換をさせていただきましたが、当院では作業ボリュームもそこまで大きくなく、少人数チームで対応していたので、RPAの活用はせずに対応していました。

白木▲結局、開発労力と業務量削減効果のバランスが重要ですよね。RPAは、誰かがつくってくれるわけではありませんから。当院での具体的な事例として、2例紹介します。まずはG-MISについて話します。G-MISは医療資材の状況を把握するためのシステムですが、毎週在庫数を入力するのが大変だったり、誤ったデータ登録により不要な資材が送られてきて困るケースがありましたのでRPAによる自動化を行いました。次に、HER-SYSです。HER-SYSは、新型コロナ陽性者の発生状況を把握するシステムですが、長野県でも2021年1月の冬の時期(いわゆる第3波)に陽性者がすごく増えました。その結果、入院患者全員にPCR検査を行うといった事態が生じ、一気に600人規模の検査結果を報告しなければならなくなり、とても人の手ではできないため自動化しました。

コロナ禍でそうした新しい取り組みが増えてきたとのことですが、RPA以外にも双方の病院で情報共有などしていることはありますか?

白木▲鈴木さんは私と違って専門家で基本的にインフラにも強いですから、いろいろと情報交換をさせていただいています。私以外にも当院の医療情報部のスタッフも鈴木さんと親しく付き合っているようです。物理的な距離は近いですが、山を越えるため微妙な距離感となっていますが、協力病院としての仲の良さがありますね。

共同で勉強会とかされるのですか?

白木▲はい。鈴木さんと最初にお会いしたのは地域の勉強会でしたよね。

鈴木▲そうですね。RPAは1回限りでしたが、他にも声をかけ合って勉強会を行うこともありますね。

情報交換をされる中で、RPA、DX、AIなど、病院としてこれらICTをどのように進められているのでしょうか?

鈴木▲当院の場合は、新築移転をした2013年にICTも積極的に取り入れて活用していこうということになり、電子カルテを導入しました。1日の外来患者数が500人くらいで、外来患者数や診療科数は信州大病院に比べると規模は小さいですが、限られた人員で効率的に診療を行うために、電子カルテ以外に各部門システムも導入しました。これらのシステムは、ほとんどがパッケージシステムといわれるものですが、どうしても業務に対応できない部分が発生しました。例えば当院の場合、一般病棟から地域包括ケア病棟や介護療養病床、介護医療院などの病棟があるのですが、患者さんの病状や診療の状況、生活環境など、それらを総合的に判断して病棟が運営されています。このようなときに、転棟してからの日数や治療の状況などを病棟ごとに一覧で素早く把握したいのですが、既存システムの機能では対応しきれないので、RPAなどのツールを使って工夫しています。

白木▲当院の場合は早くから電子カルテを導入していて、当然部門システムもたくさんあり、いわば乱立している状態でした。また、電子カルテと部門システムの連携費もすごい金額を払っていました。ちょうど2018年に電子カルテの更新を行ったのですが、その前までは全国の大学病院の中でも屈指のレベルで費用がかかっている状況でした。その中で、電子カルテの開発、保守をベンダーに依存しすぎていないかという共通認識が生まれました。多額の費用をかけているわりに誰の得にもならない、幸せな人が少ないシステムであるという実感が共有されていました。DXの取り組みに関する基本方針としては、やはり医療者は「人」を診る仕事が当然多いですから、その中で事務が先駆けて着手することで、医療者の事務仕事を巻き取りながら進めるのがよいだろうということで2020年5月からRPA推進室を立ち上げました。AIについては今年、Uipath社との共同研究として「病院事務に対するAI・RPAの適用-病院会計準則に対応した勘定科目の類推・自動化について-」を行っています。いろいろな方々のアイデアもいただきながら、自分たちでどうやってつくろうかと進めています。

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●収録日:2021年10月27日

●施設概要

病院名:信州大学医学部附属病院

  • 所在地:長野県松本市旭3-1-1
  • 電 話:0263-35-4600
  • 病床数:717床

病院名:丸子中央病院

  • 所在地:長野県上田市中丸子1771-1
  • 電 話:0268-42-1111
  • 病床数:199床

●転載元

医事業務 No.618(株式会社産労総合研究所 2月1日発行)

特集1 仕事の効率化を図る 《IT編》

ITを有効に活用して医療従事者の働き方を変える

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/


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産労総合研究所

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