医療に携わる
あなたの仕事を効率化

医療機関事例

【事例:信州大学附属病院・丸子中央病院】「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方②

アイキャッチ画像
目次

【医療機関のIT活用事例】2024年医師の働き方改革の施行が迫っており、医療現場でもITを有効に活用した取り組みに注目が集まっています。本記事では、ITを駆使して仕事の効率化を進める信州大学医学部附属病院・丸子中央病院の取り組み事例をご紹介します。


「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方②

信州大学医学部附属病院  経営管理課 病院機能強化係 主査 / 白木康浩

丸子中央病院 情報企画課 課長 / 鈴木 亨


※前記事はこちら → 「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方①

(以下、敬称略)

AIで注目されている機能にはどのようなものがありますか?

白木▲現段階で実務にすぐ活用できるものは、機械学習だと思っています。私は、ナチュラルランゲージでカテゴリに分類するといった活用をしています。今までは割高なシステムが多かったのですがUiPath社のAiCenterを活用することで一定の目途が立ちました。信州大学全体ではクラウドネイティブが進んでいて、かなり前からGoogleWorkspaceを使っていました。今後はAIについてもGoogleの活用を検討するなどいろいろな方向性が見えてきています。

鈴木▲機械学習については、これから取り組みたいですね。最近、放射線レポートに対する医事の確認が漏れ、その対策が求められていますが、この対策ツールに応用したいと思っています。具体的に現状は、すべての放射線読影レポートが作成されてから2週間以上、主治医が見ていないものを抜き出し、その内容を一覧表示し医療安全担当が確認して、重要なものにマークをつけて担当医師に見せるというプロセスを2週間ごとに繰り返しています。重要な読影レポートにマークを付ける作業を機械化したいと思っています。

白木▲それはすごく良いアイデアですね。

鈴木▲人力の場合、見る人の時間を奪わないとできませんが、ロボットによる自動化の場合は、対象を増やしても比較的容易に対応することができます。情報収集から分析・判断の一部を自動化することによって、人手を大きく増やさずに他の検査結果の確認もれ対策にも機械学習で展開できると面白いのではないかと思います。そのためのファーストステップとして機械学習のインフラの導入ですが、結構コストがかかりますよね。どこまでやるかにもよりますが。

白木▲人さえいれば、今の話はいいですね。結局DXって、人馬一体でどう働いていくかが一番大切なことだと思うんです。人に全部を任せるとか、コンピューターが全部行うというのは、今の段階ではなかなかできませんので、人馬一体でうまく回す。これはその良い事例だなと思います。工夫すればどこでもできそうなので。

鈴木▲そうですね。あとはうまくいくかどうか分からないのですが、音声入力機能ですね。当院はまだ電子化されていない部分もたくさんあるんですよね。入力するのが大変なところもあるので、そこを音声入力で解決できないかなと思っています。

白木▲音声入力については当院でも研究しています。例えば、Googleの音声認識は精度も良くなっていますので、議事録を起こすときなどGoogle Keepを活用していくのもよいと思います。前院長時代から、事務は会議の議事録をその場で起こすことで業務負荷を減らすといったことをしていたので、今後は録音してGoogle Keepにより文字起こしを行うといったことも業務改善の良い手段になると思います。Googleの音声入力における日本語の機械学習・変換機能は最近とても進化していると実感しています。それをうまく院内に展開したいですね。

この数年、無料ツールでの変換精度も向上していて、AIが自動化して文字を起こしてくれますね。この辺りの電子化は今後も進むと思います。その一方で、今回のコロナでも話題になったオンライン診療について両院ではどのような取り組みをされていますか?

白木▲以前から遠隔での画像診断など、患者さんの情報共有は信州メディカルネット協議会を中心に行っています。どういう既往歴があるのかといった情報は共有できる仕組みは取られています。

鈴木▲オンライン系ですと遠隔の読影はありますね。また病院の規模にもよりますが、放射線画像の読影医が少ないですよね。当院にも1名いますが、対応しきれないほどのボリュームがありますので、その部分は外部委託も活用しています。また、信州メディカルネット協議会では、病病連携でのカルテ共有の仕組みがありますが、限定的な用途になっているのではないでしょうか。オンライン診療についても当院は準備をしていますが、なかなか実際のオンライン診療までというケースはありません。初診の場合、いろいろな疾患の可能性がある患者さんをオンラインで診るとなると検査もできませんので、それはリスクが高すぎるという医師の声もあります。結果的に「検査のために来院してください」ということでしたら、オンラインではなく来院で診察したほうがよいのではないでしょうか。一方で、入院患者さんの家族面会についてはオンラインを活用しています。病気を治すという意味では医療環境があればよいのですが、病院の方針として患者さんと家族とのつながりを大切にしています。家族との会話ができるように、オンライン面会については2020年のゴールデンウィークくらいから環境を整えて実施しています。病院で用意したタブレット端末を使って面会を行っています。

白木▲いいですね。当院の場合、とかく急性期医療を手厚く行って、早期に院外に出してあげようということに力がかかりますので、患者さんのQOL(Quality of Life)を高めていく部分については、手薄になりがちな傾向があると思います。非常に参考になるご意見です。

鈴木▲病院によって軸足が違ってくるというところはありますよね。

白木▲Wi-Fiを使うことによる医療機器への影響は、特に問題ありませんでしたか?

鈴木▲大丈夫ですよ。機器については動作確認したものを使っていただいています。患者さんやご家族の持ち込みデバイスについては、対応する職員の数にも限りがありますので、今でもご利用いただけない形にしています。

白木▲私たちも今、病棟の改修をしているのですが、やはりWi-Fi導入はハードルが高いですね。実は以前にWi-Fiがうまくつながらず電子カルテのノート端末が使えなかったという失敗の経験があり、どうしても慎重にならざるを得ないんですよね。帯域の制約もありますからね。

鈴木▲あとは医療機器が多いですしね。

白木▲環境を整えないといけないというのはありつつも、なかなか踏み出せずにいるというのが当院の現状で、一足飛びに5Gに期待しているというところもあるかもしれません。

鈴木▲当院は新築移転だったので、導入時に整備できたという点があるかもしれません。電波強度をシミュレーションして設置場所を検討することができました。信州大病院のように増築や今あるところを変えていくとなると、なかなか難しいですよね。 

白木▲当院が他と違うのは、もうすでにWi-Fi接続機器が多くて、例えば無線で生体情報モニターのデータを飛ばしているので、かなり帯域が混雑しているのではないかと想像しています。改修に際しては、当然Wi-Fi通信環境の計測もしますが、一般の患者さんに開放できるか慎重に検討すべきかなと個人的には感じています。

鈴木▲開放するのは、なかなかハードルが高いですよね。同軸ケーブルを引いてそこだけ出すという手もありますが。

白木▲一定のシートの上だけしか使えないとか、限定された範囲でWi-Fiが飛ぶとか、いろいろ手法はあるとは思いますけど。

鈴木▲患者さん向けには準備しているところです。段階的に開放したいと思っています。

→ 【事例:信州大学附属病院・丸子中央病院】「人馬一体」を追求したITの理想的な在り方③ へ続く

――――――

●収録日:2021年10月27日

●施設概要

病院名:信州大学医学部附属病院

  • 所在地:長野県松本市旭3-1-1
  • 電 話:0263-35-4600
  • 病床数:717床

病院名:丸子中央病院

  • 所在地:長野県上田市中丸子1771-1
  • 電 話:0268-42-1111
  • 病床数:199床

●転載元

医事業務 No.618(株式会社産労総合研究所 2月1日発行)

特集1 仕事の効率化を図る 《IT編》

ITを有効に活用して医療従事者の働き方を変える

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/


記事提供者
記事提供者
産労総合研究所

コトセラやサービスのことなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら