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【医事業務0201号/巻頭特集記事】「医師の働き方改革」をきっかけとしたIT・デジタル活用①

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【医事業務0201号/巻頭特集記事】2024年医師の働き方改革の施行が迫っており、医療現場でもITを有効に活用した取り組みに注目が集まっています。本記事では「医師の働き方改革」をきっかけとしたIT・デジタル活用について、エム・シー・ヘルスケア株式会社CMOの小西が解説します。


「医師の働き方改革」をきっかけとしたIT・デジタル活用①       

小西竜太
専門:総合内科、医療経営
エム・シー・ヘルスケア(株) 執行役員CMO 兼 事業本部長補佐


1.「医師の働き方改革」のKeywordは業務効率化

現在、多くの医療機関が抱える経営課題といえば、2024年「医師の働き方改革」への対応です。労働基準法による罰則付きの規制導入により、医療機関の大小にかかわらず、医師の労働時間削減への対応は避けられない状況です。しかし2024年に迫った施行を前に、早く対策を打たなければと拙速な施策には手を出さないように注意しなければなりません。例えば、日常業務の精査なしに労働時間規制のみを行った場合、現場では無理な働き方による医療の質や安全の低下が起こるでしょう。また医師の業務量削減のためのタスクシフトも、業務をそのまま移行するだけでは、受け手となる職員の過剰確保による人件費増加により、経営悪化をまぬがれません。

「医師の働き方改革」のKeywordは、医療の生産性向上につながる業務効率化だといえるでしょう。つまり「限られた時間・人員で、従来どおり高いアウトカムを目指す」ということです。効率化を考えるにあたっては多様な側面がありますが、その中でも最近特に注目されているのが、非診療業務へのIT・デジタルツールの導入です。その背景には、電子カルテネットワークに接続されないICT・SaaS(Software as a Service)の普及により自院内でシステムを構築するオンプレミスよりもサービスの質が良く、費用も抑えられるようになってきた現状があります。

今回は、短中期的に取り組みやすい非診療系・業務系IT・SaaSの導入を中心に、「医師の働き方改革」における業務効率化について考えていきたいと思います。

2.働き方改革の進め方とIT・デジタル活用

(1)実態把握:労務管理の徹底

働き方改革を行うにあたって、本質的にもっとも重要な点は労務管理を徹底することです。まずは正確な勤怠管理の実施を優先するべきであり、出退勤時間、時間外労働時間を把握すること、つまり客観的指標としての現状の労働時間を押さえなければ、病院全体に就業ルールを徹底することは不可能であると心得たほうがよいでしょう。そのためには効率的に正確なデータが収集できるシステムを構築する必要があり、クラウド労務管理等のIT・デジタルツールが有用と考えられています。

(2)内容精査:働き方の因数分解

次に行うのが、業務内容の精査です。医師の働き方に関しては、因数分解を行うことで、課題を見つけることができるでしょう。

まず、総業務量は資料1のように表すことができるので、医師1人あたりの業務時間を左辺に置いた場合の計算方法は資料2となります。1人あたり業務時間削減の方策としては、資料2の分子である総業務を整理し「タスクシフト可能な業務」「不要な業務」を減らすことと、分母となる「業務処理スピード」を上げること、「人数」を増やすことです。しかし「人数」を増やすことは、経営面や人材確保の面からみて優先順位は高くありません。業務効率化を考えるにあたっては、次項の3つを中心に考えていきましょう。

(3)時間削減:3つのアプローチとIT・デジタル活用

①タスクシフト可能業務

タスクシフトの実行は「医師の働き方改革」における柱の1つです。しかし、タスクシフトされる側のスタッフも暇ではなく、このままでは業務を受けきれません。医師の業務をシフトされる側の看護師や薬剤師、医師事務作業補助者も同じように既存業務の分析を行い、専門性のない業務については非診療資格者(一般事務員、メディカルクラーク、看護助手等)へタスクシフトしなければならないのです。

ゆえに最後の受け手となる非診療資格者の業務効率化は、医師の労働時間削減の第一歩となり得るでしょう。非診療資格者が担う非診療系・業務系のデジタル化は未着手の分野が多くあります。また、導入にあたり初期費用が割安で、限定的な範囲で導入できるので比較的取り組みやすいのが特徴の1つです。ここにこそIT・デジタル化を活用する余地が大いにあると考えられています。

②不要な業務

日々のルーチン業務や慣習等の見直しから不要な業務を洗い出すことも忘れてはいけません。例えば病棟業務、過剰な包帯交換や消毒、無駄な指示等の見直しはあまり行われていないでしょう。診療以外では、書面報告で済むような会議の開催、煩雑な決裁プロセス、封書やFAXでしか対応できない地域連携業務等も見直すべき対象です。不要な手順はきっぱりと廃止し、手作業やアナログ作業についてはIT・デジタルツールを用いて可能な範囲でシステム化していくことが肝要になります。

③業務処理スピード

コア業務については、業務処理スピードを上げることを目指しましょう。しかし、診療行為自体のIT・デジタル化は、高額で導入に時間がかかるものやセキュリティ面での懸念も多いため、まず取り組むべきは日常業務に関連するインフラや補助ツールのIT・デジタル化です。具体的には、院内Wi-Fiやネットワークの整備、コミュニケーションツール、オンライン会議システム、RPAツールの導入等が挙げられます。

【医事業務0201号/巻頭特集記事】「医師の働き方改革」をきっかけとしたIT・デジタル活用② へ続く

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●転載元

医事業務 No.618(株式会社産労総合研究所 2月1日発行)

特集1 仕事の効率化を図る 《IT編》

ITを有効に活用して医療従事者の働き方を変える

《医事業務》

https://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/

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経営戦略室長として勤務先病院で働き方改革を推進した講師より、働き方改革の基礎的な考え方から、ITシステム導入による現場業務における効率性改善の可能性を紹介します。

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