医療に携わる
あなたの仕事を効率化

コトセラ講座

「施設基準管理士」養成の必要性~なぜ、病院経営には施設基準が重要なのか?~①

アイキャッチ画像
目次

「施設基準管理士」養成の必要性~なぜ、病院経営には施設基準が重要なのか?~①

―――――――

著者プロフィール

[経歴]

2006年 5月 江戸川病院から産労総合研究所に転職

2011年 7月 『医事業務』編集長に就任

2018年 1月 一般社団法人 日本施設基準管理士協会を設立

2021年 4月  医事グループ局長に就任

[所属団体]

産労総合研究所 医事グループ局長 兼 『医事業務』編集長

一般社団法人 日本施設基準管理士協会 代表理事

全国医事研究会 理事

NPO法人 日本医師事務作業補助研究会 オブザーバー

厚生労働省労政記者クラブ

1.はじめに

なぜ、病院経営には施設基準が重要なのでしょうか。それは施設基準の管理が病院経営に直結するからです。本稿では、あらためてその理由を深掘りしていきたいと思います。

最近、「施設基準管理士」認定試験の受験者は、実際に施設基準を担当したことがない未経験者が増えてきました。また、病院事務職だけでなく、看護師の資格者も少しずつ増えてきており、受験者の大半は医療機関に勤務する実務者です。

医療機関において施設基準の管理に不備やルール違反があると、厚生局が行う適時調査で指摘された場合、多額の返還金が発生してしまい、大きな損失を招いてしまいます。病院では診療報酬を算定するために必ず施設基準の届出を行いますので、最低でも1病院に1人以上は施設基準に詳しい人材が求められるでしょう。

2.資格創設の背景

私が「施設基準管理士」という資格を創設したいと思った背景には、医療現場の皆さんが主に次の3つのことで困っていたからです。

(1)施設基準を読み解くのが非常に難しい

診療報酬は独特の文章で構成されており、特に施設基準についてはさまざまな要件が細かく定められており、すべてを完璧に覚えることは困難です。現場で困っている声をたくさん聞いて、もう少し基礎から学べる場があればと考えました。

(2)適時調査で返還金になってしまうのが怖い

医療機関としては、常に厚生局の適時調査で指摘されるのではないかという恐怖心があります。適時調査で多額の返還金が発生してしまうと経営にも大きな影響を与え、さらに地域からの信頼も落ちてしまいます。こうした不安をいかに払拭できるかは、医療現場で働く医療従事者が施設基準をしっかりと理解するしかありません。

(3)他の医療機関での届出状況や適時調査の情報などを知りたい

適時調査の情報や届出方法など、地域の病院や自院と同じ規模の病院はどのようにしているのかが非常に気になるところです。本資格事業を立ち上げる前に、全国各地を回り「事例検討会」という勉強会を行いました。ここで多くの人と出会い、他施設の取り組みを熱心に聞き入る参加者からも意見をうかがい、最終的にどのような形にするといいのかを試行錯誤した結果、協会を設立して「認定資格」という制度をつくる道にたどり着きました。

3 .資格認定団体の設立

次に当協会の概要を紹介します。団体名称は「一般社団法人日本施設基準管理士協会」で2018年1月に設立してから4年が経ちました。所在地は東京の永田町にあります。 

「施設基準管理士」の名称は商標登録を行っており、日本で初めての施設基準に関する資格事業となります。資格は3年に1度の更新制となっており、更新年には講習を受講していただきます。

設立の趣意は、医療機関の施設基準を総合的に管理するプロフェッショナルを目指し、安心・安全で高度な医療が広く提供されるために、病院の施設基準を総合的かつ適正に管理・運用を行える人材を育成することです。それが「施設基準管理士®」のミッションでもあります。

理事は、経営的な立場から一般社団法人上尾中央医科グループ協議会の久保田巧総局長、法律の専門家という立場的からKollectパートナーズ法律事務所の佐藤亮弁護士、施設基準の実務を担う現場からの立場から医療法人社団青雲会北野台病院の鈴木達也医事課長、そして診療報酬に精通し専門的な立場から株式会社ウォームハーツの長面川さより代表取締役の4名で構成されています。このように当協会の理事は、多角的な視点を持ったバランスの良い構成となっており、事業内容は図表1のとおりです。

図表1 日本施設基準管理士協会の事業内容

4.施設基準管理の重要性

これまで医療機関では「施設基準」を体系的に学ぶという概念がありませんでした。日本の医療制度が刻々と変化し、それに伴い診療報酬も複雑化した結果、病院経営上で施設基準の管理が大きな鍵を握っていることは間違いありません。また、適時調査で指摘されると大きな返還金が発生する危険性をはらんでいることから、医療機関において「知らない」ということでは済まされない問題となっています。

このように病院経営にとって重要な診療報酬に設定されているルールが「施設基準」となりますが、現場で管理するためには3つのポイント(図表2)をしっかり理解しておきましょう。

1つ目は、診療報酬には「基本診療料」と「特掲診療料」の2つに分かれており、その中の「告示」に定められているルールの中に出てくる「施設基準に適合している(省略)」「施設基準を満たす(省略)」という文言が出てきますが、ここがいわゆる施設基準の根拠となります。2つ目は、この「施設基準」に定められている複雑な要件を満たす必要があることです。3つ目は、施設基準を正しく理解することです。特に長い文章で読解するのが難しいのが特徴ですので、施設基準をしっかりと読み解くことが求められます。

図表2 施設基準の根拠

次に施設基準は主に「体制、設備、構造」などに規定されており、ここも3つのポイント(図表3)をおさえておきましょう。

1つ目は、施設基準も診療報酬と同様に「基本診療料」と「特掲診療料」に設定されており、さらに告示と通知が定められています。2つ目は、「告示」に概要的な内容が記されており、より詳細な内容は「通知」に記載されているということを知っておきましょう。3つ目は、細かい施設基準のルールは病院事務職としても、すべてではなくとも関係する基準はきちんと把握しておくべきでしょう。

図表3 施設基準の規定

■日本施設基準管理士協会

https://www.shisetsukijun.org/

→ 「施設基準管理士」養成の必要性~なぜ、病院経営には施設基準が重要なのか?~② へ続く

記事提供者
記事提供者
日本施設基準管理士協会

コトセラやサービスのことなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら