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医療機関事例

【医療機関DX事例集】Vol.2 海老名総合病院(CAREBOOK)※前編

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目次

【医療機関DX事例集】医療機関の情報システム課や地域連携室、医事課等で活躍されている現場担当者へのインタビューを通して得られた、実際の医療機関におけるDX事例や、導入されたIT・デジタルサービスについて具体的にご紹介致します。

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【医療機関DX事例集】Vol.2 海老名総合病院(CAREBOOK)※前編

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 海老名総合病院

管理部地域連携課 ご担当者

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● はじめに、簡単な病院の紹介をお願い致します。

海老名総合病院は、近年、人口が増加傾向にある神奈川県海老名市に位置している病床数479床の高度急性期病院です。2008年に県央医療圏(神奈川県中央にある5市1町1村から構成される医療圏)で初となる地域医療支援病院の承認を受け、2017年には県央医療圏で唯一の救命救急センターを設置し、年間8,500台の救急車を受け入れています。隣接する座間市には、2016年に病床数352床のケアミックス型である座間総合病院がグループ病院として開設しており、法人グループ一体となって地域包括ケアシステムの一翼を担えるよう、地域の自治体・医師会・医療機関などとの連携に努めています。

● 海老名総合病院自体のDX化に対する姿勢はどのようなものでしょうか。

県央医療圏は、医療機関数や医師数などの医療資源が潤沢ではない反面、患者数の増加が予想されているため、様々な工夫をしていかないと、それこそ患者さんが適切な医療を受けられないという事態になりかねません。法人における3カ年計画でも、ICT活用による業務の生産性向上と医療・介護の各事業の機能強化を掲げており、各部署でAI問診の活用や文書のペーパーレス化等、様々な取り組みが行われています。もともと当法人や海老名総合病院には、先進的な技術に対して前向きに取り組む風土があると感じています。海老名総合病院の服部病院長もそのような積極的なマインドを大事にされている方なんですよ。

具体的な取り組み方としては、DX推進室のような専門部署が主動するのではなく、各人、各部署が良いと思ったものをどんどん提案していくスタイルですね。例えば、服部病院長が展示会等で出会ったことから検討がはじまるものもあれば、各部門がボトムアップで提案することもあります。当院にはそのような提案を推奨し、それを受け入れる風土がありますね。一方で気をつけておかないと、あちらこちらで様々なサービスの提案や導入が行われ、収集がつかなくなるということが懸念されますが、そこは法人全体として、システム投資情報の一元化やマネジメントを行う部門があり、しっかりとガバナンスが取れていますので、そこが強みでもあると感じています。

不確実性の高い現代にあっては、基本的に患者さんや職員の為に良いと思うものは、診療部だろうが、コメディカルだろうが、事務だろうが、誰でも提案をしていくべきであり、最終的な判断は費用対効果や将来性を見定めたうえで組織として管理していこうという方針です。また、ダメだったときの見切りも早くしようということもきっちり通達されていて、提案した限りは効果検証をしっかりと求められるという方針も法人としてしっかり示されています。

● 今回導入されたCAREBOOKについて、導入された経緯を教えてください。

地域連携課の主業務のひとつは、他病院との入退院調整業務です。そこに、非効率であったり生産性が低かったりと感じる部分がたくさんありました。

例えば、入退院調整業務の最初の一歩は、先方の病院への打診ですが、当院のMSW(メディカルソーシャルワーカー)は、電話を使用して、1人の患者さんのことについて、3つ4つの病院へ全く同じ内容を話さなければなりません。先方の担当者にすぐつながれば良いのですが、入れ違いもあり、日を跨いでのやり取りになることも頻繁にあります。また、患者さんの情報提供にはFAXが使用されますが、こちらも打診した病院の数だけ同じものを送る、時間外になって一斉に送信する等、本来のソーシャルワーク業務を圧迫している作業が多いように感じていました。そのうえ、電話越しの聞取り違いや伝達の抜け漏れ、FAX誤送信等の人為的ミスも一定の頻度で発生します。

このような状況下で、現場のスタッフからは残業が減らない、患者さんやご家族と十分に向き合う時間が取れないという声が度々あがっていたのですが、私はこの医療業界独特な慣習的なやり方自体に、なにか本質的に改善するべきところがあるのではないかと感じていました。

そんな時に出会ったのが、CAREBOOKというサービスです。CAREBOOKはインターネットを介してダイレクトに病院間をつないでチャット形式で患者情報をやり取りできる入退院調整システムです。これは、先程の電話やFAXによるやり取りを補完できるのではないかと思い、コンタクトを取ったのが最初だったと記憶しています。

はじめは、もし当院にフィットしなかったときはやめてしまえばいい、という軽い気持ちでした。そもそも良いシステムというのは、自然と残っていくものだと思います。使用する人のニーズを満たし価値を感じられるものであれば、自然と浸透し残っていくと思いますし、そうでなければ自然に淘汰されていくでしょう。いずれにせよ、最初からあれこれ考えて踏む出すことをためらうよりも、まずはやってみてから考えようとの思いで導入を提案しました。

● 院内において、CAREBOOK導入のための決裁はどのように取られたのでしょうか。

まずは、ベンダーと事前相談をし、海老名総合病院とグループ病院の座間総合病院との間で一定期間のトライアルをさせてほしいと上申しました。トライアルであればやってみたらいいんじゃないの、と比較的スムーズに決裁が下りたイメージですね。

成果をどのように見える化するのかは事前に作戦を練りました。トライアル期間中にCAREBOOK導入に対する職員アンケート調査や利用実績を測定するとともに、周囲の医療機関を含めた地域全体でこのシステムが受け入れられるのかを調査する必要があると考えていました。地域で受けられるのであれば当院が利用をやめるという判断にはならないと思いましたので。そのため、導入初期には院内での利用を促進するとともに、オンラインによる病病連携の機会創出を地域に仕掛け、近隣の医療機関もCAREBOOKが利用しやすい環境を戦略的につくりあげてきました。それが功を奏し、現在では有効活用できる環境が少しずつ院内外ともに実現できてきているのかなと思いますね。

● CAREBOOKの導入に際して、工夫したところがあれば教えてください。

 (院内での利用について)

院内での利用に関しては、導入直後は、ある程度トップダウンで使用せざる負えない環境をつくったということはあるかもしれないですね。

そもそも、当院がCAREBOOKを導入したときには、他に神奈川県で使っている病院はありませんでしたので、スタッフでこのシステムがどういったものなのかを理解しているものは少なかったと思います。そのため、「まずはやってください」と少し強引なところがあったかもしれません。

このようなやり方だと、いろいろと軋轢が生じることもあると思いますが、それでも導入初期は、ある程度強制的に使用する環境をつくらないと、長年同じ慣習でやってきたものを変えるという心理的なスイッチングコストを乗り越えることは難しいのではないでしょうか。そのような時には、リーダーシップをもって覚悟を決めて引っ張っていく、というのも大事なことかと思っています。当初は多少不満はあったにせよ、いまではシステム利用が広がっているということは、それを上回るメリットを使用しているスタッフ自身が感じてくれたからだと思っています。

ある程度軌道に乗ってきた後は、あえて特別なレクチャーや指示等は行っていません。システム自体がシンプルなので必要なかったということもありますが、一から十まで使い方等を規定してしまうと、利用自体が広まっていかないのではないか、という思いがありました。

繰り返しになりますが、特別な利用促進をしないといけないようなシステムは、そもそも魅力がないということだと思いますし、それで利用されなくなっても構わないとも思っていました。しかし実際は、CAREBOOKの様々な機能を、現場のスタッフ自らが次々と使っていく、ということが起こりましたね。最初は使用していなかった機能も、あぁこんなこともできるんだとスタッフ同士で気づいて使うようになり、今では当たり前に使っています。

こういったときに特に反応が早いのが若い人なんですよね。業務経験が長くなればなるほど新しいやり方に慣れることが難しいところがありますが、それこそZ世代と呼ばれるようなデジタルネイティブなスタッフは、いろんな機能があると、真っ先に利用することに抵抗感が無いように感じます。そうすると、そんな便利な機能があるなら教えてよと、周りのスタッフも興味を持ち出し、現場で利用促進の良いサイクルができていきますよね。    

一旦みんなで使い始めると、もっとこんな機能があれば助かる等、いろんな意見も出てきます。それをベンダーにフィードバックし、改善していくという流れも生まれるようになりました。システムやツールは現場で使う人のものであるべきです。現場が、より良い使い方を自分たちで見つけていくやり方のほうが、自分ごと化されやすく、定着していく気がしていますね。

(地域への普及について)

CAREBOOKの効果をより大きくするためには、近隣地域への普及が必須です。そのための仕掛けの一つが、オンラインによる病病連携の会です。このオンライン連携会では、ベンダーによるサービス概要説明、転院を打診する病院と打診を受け入れる病院のそれぞれの立場からの取り組み状況について報告を行い、入退院調整業務全般に関する課題について意見交換を行いました。

まずは、普段からやり取りをしている近隣の病院やベンダーが個別でお付き合いのある病院を中心に幅広く呼びかけたところ、第一回には19施設中12施設、第2回には29施設中19施設の参加がありました。

CAREBOOKというシステムの紹介ありきではなく、「入退院調整の課題を一緒に解決しませんか?」という病院の地域連携部門であれば共通して感じている課題をテーマにしたところが、良かったのではないでしょうか。またコロナ流行により連携の機会が乏しい中で、情報交換をしたい、連携をしたいと多くの方が思っているタイミングにも合致したのだと思います。

コロナウイルス流行により、対面での病院間交流や連携の機会が大幅に減ってしまいましたよね。どの病院も他の医療機関と交流したいという思いは持っていらっしゃると思うのですが、じゃあ誰がそれを主導するの?となると、なかなか人手も時間も足りない。参加者を集めるにあたって、特別に工夫したと思う点はありませんが、地域でものごとを進めていこうとするとき、その中心となる医療機関が自らリーダーを担い、周囲に働きかけて引っ張っていくことが、とても大切だと実感しています。

(取材日:2022年3月29日)

→ 【医療機関DX事例集】海老名総合病院(CAREBOOK)※後編 へ続く

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● 今回導入されたサービス:CAREBOOK

転院先との連携をクラウド化させることで調整にかかる手間を削減。転院にまつわる煩雑な管理もデジタルで一括管理できるツール


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